【SV】ポケモン嫌いの日常〔2〕 (ページ4)

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「やっぱ気になってるんでしょ！」

「そういうのじゃないって！」

「会って早々、A見てないか！？ってすごい勢いで聞いて来たじゃん。」

「見知った人間がピンチだったら駆けつけるだろ！？」

「えー？じゃあ私も迷子になったらよんでいい？」

「………」

「悩むな！」

手当の最中、二人の言い合いはしばらく続いていた。
ネモに手伝ってもらいながら湿布を貼り、患部を包帯でおさえる。このくらいやっとけば大丈夫だと思う。

「これじゃあしばらく宝探しは行けないね。」

ネモが寂しそうに呟く。

「一緒にジム回ってバトルしたかったのに…」

「……」

もう何もつっこむまい。
まあでも、しばらくは安静が必要そうだ。ジム巡りもバトルも元々する気はないが、宝探しは一旦中断だろうか。

手当ての最中、ペパー先輩がさっき採ったスパイスを利用してサンドウィッチを作ってくれた。私たちの分とは余分に一つサンドウィッチを作り、ネモと私に持たせてくれる。余りはきっとマフィティフの分だろう。

「お前らはとりあえずテーブルシティに戻った方がいい。ほら、これ作ったから持っていけ！」

色鮮やかな野菜ハムたっぷりのサンドイッチと、いちごをクリームで挟んだフルーツサンドだ。とても美味しそう。

「えー？ペパーは一緒に戻らないの？」

「俺はここを片付けてから戻る。ネモはAの怪我が悪化しないように早く保健室に連れてってやれよ！」

「そうだね…！よし、A。学校に戻るよ！動けそう？」

「うん、痛みはそこそこ引いてきた。タクシー呼ぶね。」

名残惜しそうに周囲のポケモンを物色し始めたネモ。
まだ戦い足りないんだろうな。

「……あ、ロトム。」

カバンに入れっぱなしになっていたロトムに声をかける。
……洞窟で私を守ってくれたロトム。ケンタロスに追いかけられた時だってそう。

「ロトム、そこにずっといたら窮屈だよね。好きなように飛び回っていいよ。」

カバンのチャックを大きく開けて、ロトムが飛び出しやすいようにする。すると少し遠慮がちにロトムが顔を出した。

「タクシーを呼んでくれる？」

ピコンと、通知音と共に“了解ロ！”のメッセージ。
ロトムはクルクルと私の周りを飛び回っていた。

勿論、すぐに受け入れられそうにはないけれど。
壁を一つ、乗り越えられた気がする。

私はこの子を自分のポケモンとして、仲良くなれるように頑張ってみるつもりだ。