。 ページ3
ずっと暗いところにいたせいで、外が眩しい。先輩は近くの岩陰に私をゆっくりと下ろしてくれた。
「怪我したのは足だけか？他に痛いところは？ぶつけたところとか。」
泥だらけになった私の制服の砂を払いながら、先輩が聞いてくる。足首以外、特に怪我もなさそうなので私は頷く。
「すみません、大丈夫そうです。」
私の腕にあった大きな痣のようなものが、ただの泥の汚れなのだと分かって、先輩はやっと安堵したような笑顔を見せた。
「…あー、制服が汚れちゃったな。」
私の服はもちろん、先輩のシャツも砂だらけだった。
まさかネモと二人で塞がれた出口を壊してくれたのだろうか。
「えと、ごめんなさい……あと来てくれてありがとうございました。」
まだ礼も謝罪もしてなかったことを思い出す。
危なっかしい奴だと思われるのは正直心外ではあるが…心配をかけたことは事実だ。
「なんだ急に改まって。」
「ご迷惑をおかけしたなあと。」
「別にいいんだ。無事だったみたいだしよ！」
私たちは並んで座り、二人でネモが戻ってくるのを待つ。
……
…
「そういえば、なんでペパー先輩がここに……？先輩、大空のヌシと戦いに行ったんじゃ…」
ふと、いつの間にかにここに居るペパー先輩が気になった。大空のヌシは確か西側だ、真反対である。
「さっき電話くれただろ！」
さっき……？
ああ、ケンタロスに追いかけられていた時か。
「Aの様子がおかしかったから、思わず駆けつけてきたんだってさ。」
「おい、生徒会長！！」
ペパー先輩の背後から現れたネモ。小脇に薬や包帯、ガーゼやらを抱えている。どうやら、あの電話の後に駆けつけて来た先輩が、助けを求めにいったネモと遭遇したらしい。
「さっきはいきなり電話切っちゃってすみません…」
先輩はわざわざ心配してここまでやって来たのだと理解する。そこまで気にかけてくれているとは思わなかった。結果的に、電話を聞いてやって来てくれた先輩のおかげで、私は助かったわけだ。
「ペパーったらすっかりAのことが…」
「大事な後輩ちゃんだから当然だろ！」
何かを言いかけるネミを先輩が遮る。いったいなんで先輩が慌てているのだろう。疑問に思いつつ、ふと鞄から例のスパイスを取り出した。
「そう言えばこれ…スパイスです！」
「おお！ありがとな……！でも、まずは手当が最優先ちゃんだろ！？」
「あ、そうですね。」
「あはは、」
ネモが私と先輩のやりとりを見て笑っていた。
「なんでお前は笑ってんだよ……」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 317人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
堅揚げポテト丸 - 続き楽しみにしているので、更新お願いします！！ (1月15日 1時) (
レス) @page7 id: 809d46eaec (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：まるむ | 作成日時：2023年1月11日 12時
