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『先輩こそ…………』
やっぱりお面をつけなきゃ無理だ。口が最後まで回ってくれない。先輩のことをチラと見上げるが、その眼力の強さに慄いて再び目を逸らす。まだ普通に話せるようになるまでは道のりが遠そうだ。
「まあ、顔を見たらすぐにな」
この薄い顔を覚えてるなんて先輩頭良いんだなぁ。とりあえず無言でお面を付け直す。ふぅ、安心。あ、ジュンコごめん。
「ジュンコ!」
孫兵が生物小屋に飛び込んできた。ジュンコも私がお面をつけたことで居心地が悪かったのか、孫兵の胸に飛び込む。
「よかったぁ。あ、A先輩来ていらしたんですね!」
ぞろぞろと一年生もやってくる。んんんん、ここが天国でしょうか。三治郎の天使のような笑顔が眩しい。
『こんにちは、みんな』
「もうこれで最後の委員会なのか?」
「まあな。体育委員会には行っていないけど」
竹谷先輩と鉢屋先輩が言葉を交わしている。体育委員会、滝夜叉丸が上手くやってくれてると良いんだけど。後で呼び出しとかされたら嫌だな。
「火薬委員会でのこいつは見ものだったぞ。兵助が──」
『鉢屋先輩、よして下さい!』
どうしてこう嫌味なのだろう。先輩じゃなかったら速攻…………いや、別に先輩じゃなくても殴ったりはしないけど。
「おいおい、あまりAちゃんをいじめるなよ」
笑顔が絶えない尾浜先輩が、相対的に良い人に思えてくる。先輩から見ても私はいじめられているらしい。私が一体何をしたと言うのだろう。
「生物委員会の皆さん、A先輩を案内しなくて大丈夫ですか?」
「ああ、そうだな」
庄左ヱ門の一声に竹谷先輩は咳払いをする。
「我々生物委員会の仕事は、学園で飼っている生物の飼育に、薬草園の管理だ。六年生がいないため、五年生の俺が委員長代理を勤めている」
あらら、火薬委員会と同じパターンだ。これだけの量の生物を管理するなんて大変だろう。おまけに半分以上が一年生。さらにかなりの頻度で虫が逃げ出す、というとこかな。
「A先輩、虫は好きですか?」
虎若が聞いてくる。
『うーん、嫌いでは無いけど……』
殺す対象ではあるんだ、なんて言えない。だって
「我々生物委員会のモットーは、生き物飼ったら最後まで! どんな虫でも、責任持って面倒を見るのが人としての務めだ!」だなんて目の前でいわれてるんだから。
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砂糖水 - (_;´꒳`;):_同じくぅぅぅぅ (2023年3月21日 21時) (レス) id: 1d36f8c737 (このIDを非表示/違反報告)
黒糖さまでーす - 天女じゃない所は良き、ですがオリキャラとモブは無理だったぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ(((泣 (2023年3月4日 17時) (レス) @page12 id: b07dd8e215 (このIDを非表示/違反報告)
まみむー(プロフ) - 初心者Mさん» 自分では仲のいい忍術学園しか想像出来ず、こうなりました笑 鼻血が出てますよ□ヾ(・∀・`o)フキフキ読んでくださってありがとうございます! (2021年3月17日 21時) (レス) id: bb04bdd80d (このIDを非表示/違反報告)
初心者M - 天女ものではない所が、好きです。(鼻血) (2021年3月17日 21時) (レス) id: 8867205e66 (このIDを非表示/違反報告)
まみむー(プロフ) - にゃんこさん» にゃんこさん、ありがとうごさいます!誰にも読んでもらえないと思っていたので凄く嬉しいです! (2021年3月17日 14時) (レス) id: bb04bdd80d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まみむー | 作成日時:2021年3月16日 12時