委員会見学その五の段 ページ31
一瞬目の前が真っ暗になって、何が起きたのか分からなかった。気がつくと、視界に入るのは目を輝かせた久々知先輩ではなく、見覚えのない天井。鼻に残っていた火薬の匂いに、新たな匂いが混じる。これは……………………薬草？
『ああぁぁ！』
大変なことを思い出し、私は真っ青になって身を起こした。そして私を覗き込んでいたらしい誰かとぶつかった。
「うわぁ！」
『いったたた…………』
お面越しでも痛い。むしろ、頭蓋骨に響きました。不運だ…………と後ろで呟く声が聞こえ、私は慌てて土下座した。
『ごめんなさいごめんなさい！』
「いや、大丈夫だよ、AAちゃん。具合はどうだい？」
ぶつかったのは六年生の先輩だった。柔らかそうな前髪の下で赤くなった額をさすっている。
『元気です…………』
「それだけ動けるなら大丈夫だろう」
後ろから鉢屋先輩が話しかけてくる。振り返ると、とても愉快そうに笑っているのが目に入った。
話によると、久々知先輩が至近距離に迫った私は気を失い、原因である先輩は本当に慌てふためいたらしい。とりあえず学級委員長委員会に説明すると、尾浜先輩が私をここに連れてきてくれた。久々知先輩はここにいようとしたが、要注意人物として火薬庫に返されたそうだ。うわー、申し訳ないことをしてしまった。
ちなみにこれが人生初の医務室です。今まで頑張って避けてたからなぁ。死ぬ気で健康を保ってたんだよね。
『大変ご迷惑をおかけしました！』
ビシッと謝るとあははと尾浜先輩は笑った。結構大らかな人だ。
「いいよいいよ、Aちゃん軽かったし」
「ああ、面白いものを見せてもらった」
くぬぬ、恥ずかしい。よりにもよって鉢屋先輩に見られるなんて。全てにおいて癪だ。
「まあまあ、どっちにしろここには来る予定だったし」
六年生の先輩は実に優しげな雰囲気を醸し出している。私は布団の上で多少の距離を離させてもらいながらも先輩に向き合った。
「ようこそ、Aちゃん。ここは保健委員会。僕は委員長の善法寺伊作」
『…………よろしくお願いします、善法寺先輩』
そう言うと先輩はくすりと笑った。え、私変なこと言った？
「いやいや、僕のことを苗字で呼ぶ人なんて滅多にいないから」
私の気持ちを読み取ったのか、先輩は教えてくれる。
「先輩は不運大魔王として有名ですから」
鉢屋先輩、もう黙ってて下さい。善法寺先輩がしょんぼりしちゃったじゃないの。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 205人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「忍たま」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
砂糖水 - (_;´꒳`;):_同じくぅぅぅぅ (2023年3月21日 21時) (
レス) id: 1d36f8c737 (このIDを非表示/違反報告)
黒糖さまでーす - 天女じゃない所は良き、ですがオリキャラとモブは無理だったぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ(((泣 (2023年3月4日 17時) (レス) @page12 id: b07dd8e215 (このIDを非表示/違反報告)
まみむー(プロフ) - 初心者Ｍさん» 自分では仲のいい忍術学園しか想像出来ず、こうなりました笑 鼻血が出てますよ□ヾ(･∀･`o)ﾌｷﾌｷ読んでくださってありがとうございます！ (2021年3月17日 21時) (レス) id: bb04bdd80d (このIDを非表示/違反報告)
初心者Ｍ - 天女ものではない所が、好きです。(鼻血) (2021年3月17日 21時) (レス) id: 8867205e66 (このIDを非表示/違反報告)
まみむー(プロフ) - にゃんこさん» にゃんこさん、ありがとうごさいます！誰にも読んでもらえないと思っていたので凄く嬉しいです！ (2021年3月17日 14時) (レス) id: bb04bdd80d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：まみむー | 作成日時：2021年3月16日 12時
