# 真実とは違う事 ページ8
side : Jamil Viper
「 AA、Aはどこだ!?! 」
「 はぁ…カリム、Aも授業があるだろう。そして。お前も授業だ。 」
昨日からカリムがいつもの五倍はうるさくて…ゲフン、気分が高くて正直俺の疲れはMAXだ。
カリムがこんなのになってる理由はただ一つ。
カリムの番犬であるAがこの学校に入学しているらしいんだ。昨日の騒動の時に現れたアイツは確実にAだった。
……アイツと俺はあんまり仲良くないからな。どうしたものか……
そう考えながら、落ち着こうとしないカリムを押さえつけて教室に送り届ける。
俺も教室へ…と思ったところで目に入ってくるのはラギー・ブッチ。
仲がいいわけじゃないが、今日はいつにも増して浮かない顔をしているのがすぐに分かる。…かなり酷い顔だぞ?
「 …ッあ、ジャミルくんじゃないっスか〜!カリムくんのお世話大変っスね? 」
「 ああ、まったくだ。…それで、そんな顔をしてるのには訳があるのか? 」
「 うげぇ。顔に出てたっスか?………まあ、お宅の犬は楽そうだな〜って思ってたところっスかね。 」
お宅の犬。
それが何を指しているのかは、すぐに分かった。
やっぱり、Aは獣人だからサバナクロー寮だったのか…でも、楽そうとはどういう事だ?
俺が見ているAの生活なんて、俺がしたら一瞬で病んで死んでしまうと思う。それぐらい激務だ。
カリムに拾われる前もずっと人としては扱われてなくて。
Aは同情が嫌いだから何も誰も言わないけど、誰だってもう働かなくていいよ。大丈夫。って言いたくなる。
………まあ、ラギーの気持ちも分からなくはないけどな。俺だってAが来てすぐの頃、犬だからって。って何度思ったことか。
「 くく、 」
「 ?どうしたっスか? 」
「 いや、楽そう、だなんて思わない方がいいぞ。……もし、Aと同じ仕事を俺がしろって言われたら死んだ方がマシと思えるぐらいには働かなくちゃいけない。 」
「 え…… 」
「 そこら辺の犬が、どれだけカリムが我儘言ったところであの地位を貰えるわけじゃない。…それぐらい考えれば分かるだろう? 」
「 ……ッ、 」
そう。簡単な話だ。
Aは使えると認められたからカリムの傍に居られる。
そこにどんな努力があったのか、俺も全部は知らないけどな。
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れたら - 続きはありますか、?あったらぜひ読みたいです!更新待ってます (2022年3月31日 18時) (レス) id: 3a8e68ec4e (このIDを非表示/違反報告)
パピコ(プロフ) - 最高です。更新待ってます (2020年7月12日 0時) (レス) id: f19b0b021f (このIDを非表示/違反報告)
ココ - この小説とても好きです!更新楽しみにしてます。 (2020年6月4日 2時) (レス) id: 93e09ab845 (このIDを非表示/違反報告)
pokettoame(プロフ) - あーこれは……続きが気になります…… (2020年5月27日 12時) (レス) id: 2f9884d86e (このIDを非表示/違反報告)
ゆきな(プロフ) - ワンコ可愛いですよね!これからも無理せずに頑張ってください!楽しみにしてます! (2020年5月21日 1時) (レス) id: e7791cc44f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:千紗 | 作成日時:2020年5月13日 15時