【 ツイステ 】犬 の 忠 誠 心 。

# 番犬の実力と闇 ページ20

side : Jamil Viper









Aが席を立ってからすぐ、カリムの暗殺者として送り込まれた奴等に気付いた。




…正確には、Aが席を立ったことがどういうことを指しているのか、が分かっただけなんだが。




カリムにあれだけの忠誠心を持つAが、用事程度で食事の席を立ったりはしない。用事よりカリムを優先させる、そんな男だ。




なのに、何故。




その答えは、カリム…ご主人様に危険が及ぶ時。つまり、カリムの命を狙う奴等の気配を察知し、始末しに行く時だけ。




……クソッ、オレはそんなもの全く気付けなかったというのに……ッ




…だからか。Aがここに入学してきたのは。…チッ、あの犬が居るだけで一年も掛けてきた計画が壊れるかもしれない。




そもそも、アイツは謎が多すぎなんだ。




アイツはユニーク魔法を使えるのか？使えるならどんなユニーク魔法なんだ。頭は良いのか？体術はどれぐらい出来る？…本当に知らないことが多すぎる。




分かっていることと言えば、Aの弱点はカリム。それだけだ。




カリムに何かあればオレの首は物理的に飛ぶだろうし、そもそもカリムに何かして…




それをAがカリムにとって不利益だと判断されれば、全力でアイツはオレを殺しにくるだろう。




同じアジーム家に仕える者だとしても、オレとAじゃしている仕事が違いすぎる。




…前、ラギーにAがしている仕事をオレがすればすぐに病んでしまうぐらい、と言ったが、それはあながち間違っていない。




アイツの業務内容の十分の一程しか知らないのに、そう言えてしまう。




オレがアイツの仕事で知っているのは、カリムの命を狙う者の始末、そして取引先を調べ上げる…スパイ。




カリムの命を狙う者なんて馬鹿みたいにいる。熱砂の国有数の大富豪、アジーム家の取引先だって、どれだけいると思ってるんだ？




チッ…









｢ジャミル？怖い顔してどうしたんだ〜？？｣




｢…いや、Aは凄いな、と思っていた所だ。｣




｢そーだろ？！Aは可愛い可愛い…オレの(・・・)番犬だからな…？｣









そう、真顔で言い放つカリムにゾクッ！…っとした。




……そうだ。忘れてた。カリムはずっとAのことを大事にしてて…それは、執着とも言えるぐらいに…




…チッ、本当に厄介事しか持ってこないなぁ…阿呆カリムの番犬は！









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