ガラスの人形（緑）

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丸｢あの｣





お人形さんのようなAは
表情を変えずに僕を見た





｢・・お願い、私を助けて｣





ビー玉のような綺麗な目に涙の膜が覆われて
涙ぐみながらそう言った





丸「おいで」





Aの小さい手を握り
玄関のドアを開ける









＿＿＿＿＿＿＿＿＿ガチャッ





丸「・・・」





さて、どこに行こうか

ようやく手に入った
“俺”のタカラモノに顔が綻ぶ





「どうして」

丸「ん？」

「どうして、私の名前を知っているの？」





怯えたような表情をして
震える声で聞いてきた



その脆いガラス細工のような君を
粉々に壊したい気持ちを必死に抑えて
優しく微笑む





丸「昔、会ったことがあるやん」

「・・・」

丸「覚えとらん？」

「ごめんなさい・・私、記憶が曖昧で」





切なそうに視線を下に向ける





丸「A」

「・・・？」

丸「もう、どこにも行かんといてな」





背の低いAの顔を覗き込んで言えば
クリクリとしたビー玉の目が俺を映した

その瞳に映っていた俺は
気持ちの悪い笑顔を貼り付けて
愛おしそうにAを見つめていた

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