ガラスの人形（緑）

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火が怖い

物体も思い出も記憶も
全てを燃やしてしまう

あの真っ赤な炎が



＿＿＿コンコン






大倉｢A、入るで｣





月明かりがほんのり夜の闇を薄くさせているこの部屋で、濁りのない瞳と視線が交わった。

綺麗な顔の人って表情がないと人形みたい
温度がないようで

だから、そういう人が微笑むと
この人も人間なんだって安心する





大｢丸、もう寝たで｣

｢そっか｣

大｢今夜も眠れへんの？｣





首を縦に振ると、
忠義が私の腰に腕を回し引き寄せた

ふわり、真っ白なシルク生地のドレスが揺れる

まるで脆くて簡単に壊れてしまいそうなガラスを抱きしめるように、優しく包み込む



忠義は、私のことを匿ってくれている

私の家を燃やした犯人から私を守るために





大｢これからも、この部屋から出たらアカンで？｣





とても愛おしい人を見るような
とても心配そうな

優しい目をしながら、柔らかく強制してくる

彼の言葉には、逆らえない



視線が、唇を捉え
伏せ目がちになる

前髪の隙間から覗く艶やかな目と
長いまつ毛が色っぽい


大きな手を私の後頭部に回して
何度も何度も唇を重ねた




大｢こんなに｣

｢・・ｯ｣

大｢アイシテルンヤカラ｣




じんわりと鉄の味が広がる

唇が熱い





大｢・・・A｣




唇から生暖かい液が流れる

忠義は、その液をまるで赤い宝石かの如くうっとりと眺めて、舐めとった

この人からは、離れることができない

これからも、ずっとずっと

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