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夢想と現実との区別がつかなくなってからというもの、私は自分の身体を傷付けて自分の存在意義を確認しなければ安心できないようになっていた。
そんな私を見かねた父は、
地下室へと私を幽閉した。
豊富な図書に、TV、ふかふかのヘッド。
食料も召使いが運んできてくれる。
もちろん、問題を起こした召使いは父が辞めさせたため、今は違う召使いが面倒を見てくれている。
トイレやお風呂の時には、地下室から出ることを許可されていたし、そこでの生活は別に嫌なものではなかった。
ある青年が現れるまでは。
「・・あの、大丈夫ですか?」
紅茶を飲みながら読書をしていた時、背の高い青年に声をかけられた。
「どうやってここに?」
「偶然、地下室を見つけて・・そしたら鍵が空いていたんで中を覗いてみたんです」
心配そうに私を見つめる。
人の良さそうな青年だ。
ふと、思った。
純粋そうな目をしてる
あなたと同じ景色を見てみたい、と。
それは、言うなれば「恋」という感情。
初めて人に恋をした瞬間だった。
・・・あれ、初めてだっけ?
よく分からない感情に慌てて蓋をする。
この感情は、何なんだろう。
考えても考えても、分からない。分からないことが多すぎて、時々不安でたまらなくなる。涙目になりながら、青年を見つめた。
「・・お願い、私を助けて」
同じことをただ繰り返すだけの日常を抜け出して
あなたと一緒にいたい。
驚いたように、瞳がゆらゆらと揺れている。
ゆっくりと恐る恐る手が伸びてきた。
壊れやすいガラスの人形にそっと触れるかのように青年は私の手を握り、陽の光が暖かい外の世界へと連れ出してくれた。
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なっち(プロフ) - まるさん» 最後まで読んでくださり、ありがとうございます´`*そう言っていただけて嬉しいです。これからもよろしくお願いします! (2021年3月7日 23時) (レス) id: 8e3efa0f37 (このIDを非表示/違反報告)
まる - 完結おめでとうございます!なっちさんの世界観にハマってしまいました(^^)これからも頑張ってください! (2021年3月7日 17時) (レス) id: f186c42411 (このIDを非表示/違反報告)
なっち(プロフ) - エムムさん» お返事遅くなってしまい、申し訳ございません(><)ゆっくりですが、コツコツと更新していきます!コメントありがとうございます´`* (2018年2月7日 19時) (レス) id: ca6adbf52b (このIDを非表示/違反報告)
エムム(プロフ) - 更新楽しみにしてます^^ (2017年11月29日 5時) (レス) id: d0682dc8ac (このIDを非表示/違反報告)
なっち(プロフ) - o0_chuさん» ありがとうございます!どんでん返しのある作品にしたいと考えておりますので、是非最後までお付き合いいただけたら嬉しいです( *˙˙*) (2017年3月22日 14時) (レス) id: b1a9362e1c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:なっち | 作成日時:2017年3月10日 15時