第十八訓 ページ21
Aサイド
秋…
はらはらと、木の葉っぱが風に揺れて地面に落ちていく
日が落ちるのが早くなって、だんだん寂しさが増してくる季節がやってきた
そんな夕方、珍しくA一人で先生と縁側でお茶を飲んでいた
そして…日が落ちていく空を見ながら、ふと…思ったことを口にしてみた
『ねぇ、先生』
吉「はい、どうしました?」
『お日様って…夜になると見えなくなっちゃいますよね?』
吉「はい、そうですね」
なら…
そう呟いて、先生の着物の袖を少しだけ握る
『お日様みたいにあったかい先生も…夜に取られちゃうんですか?』
吉「……え?」
私の言葉を聞いて、先生はよくわからないような顔をしていた
『だって先生は…行くあてがなくて真っ暗だったAを助けてくれて…お日様みたいに照らしてくれたから、Aはこうして笑っていられるの
だから…そんな先生もいつか、夜みたいに暗くなっちゃうんじゃないかって…心配で…』
そう言ってしばらくすると…ぽふんと、先生のあったかい手が頭に乗って揺れた
吉「A、心配しなくても大丈夫ですよ」
『…どうして?』
吉「太陽が沈んでも、空には月や星が…太陽の代わりに空や私たちを照らしてくれます。それに、太陽は次の日になれば必ず登ってくるでしょう?
だから…私は何があっても、必ず君たちの前に戻ってきます」
『…ほんとに?』
吉「はい、本当です」
…じゃあ
と、Aは先生に小指を向けた
『約束…指切りしてください!』
吉「はいはい」
先生は少し呆れたように…それでも、嫌がったりしないでAの小指と自分の小指を絡ませる
吉「『指切りげんまん
嘘ついたら針千本
のーます。
指切った!』」
先生と指切りをして…これから先ずっと先生といられる嬉しさに頬を緩めた
『もしもの時は、Aが先生を助けに行くからね!』
吉「はい、よろしくお願いしますね」
けれど…そんなことは叶わないことをAは知らない
A達のお日様が連れて行かれるのは…夜の闇よりもさらに深い闇だということも…
暖かく眩しく優しいお日様は…本当は真っ黒な偽りの光だということも…
この先にある悲劇も…
苦しみも…
悲しみも…
辛さも…
痛みも…
虚無も…
絶望も…
無知で幼く無力なAには…
全てわからなかった…
知る術など…なかった…
ーーーーーーーーー
意味不明!!
122人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
季奈乃 - この作品すごく面白いですね! 更新も頑張ってください! 応援してます!!!!! (2017年9月23日 13時) (レス) id: 937f71cb5a (このIDを非表示/違反報告)
香菜 - とても面白いです!これからも更新を頑張ってください!ほかの作品も作ってください! (2015年11月2日 17時) (レス) id: 39880b9d7b (このIDを非表示/違反報告)
信女(プロフ) - 面白いです!私も人に教えられるようなネタ持ってなくて…、初コメ失礼しました!更新頑張ってください! (2015年9月9日 6時) (レス) id: 58e33b6721 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:十六夜☆ | 作者ホームページ:http://maru1215
作成日時:2015年8月24日 19時