【歌い手】僕がきみにプロポーズする5つの理由【短編集】

I want your time. ページ19

・


「暑いね」

「そりゃ夏だし。どする、このままコンビニまで走る？」

「ひとあめ来そうだけど」

「じゃあ尚更コンビニ行かないと」

珍しく、ミュールとか履いてみちゃったのに。何も言わないし、さらに走らせようとするとか、ありえないんだけど。

仕事以外で走りたくないし。

「あ、やっぱしばらくここにいよ」

「なんで？」

「んー、雨上がったら教えてあげる」

なんて言った瞬間、バケツをひっくり返したみたいな雨が降り始めるのは、ギャグだと思う。
でも、撮影のときに自在に雨を操れたらいいかも。雨が映えるモデルを一番活かせるのを、いつでも撮れる。
そんな素敵なことって、ほかにないと思う。

「……また仕事のこと考えてる顔してない？」

「さんぶさんエスパーじゃん」

「おまえずっと仕事のこと考えてんじゃん」

「んー、さんぶさんがいちばん綺麗に撮れる瞬間探してた」

なんだよそれ、なんて笑いながら、雨が止むのを待つとき。雨が止んでから、わざと水たまりにサンダルの足を突っ込んでくとこ。

やっぱり、雨が似合う男じゃない？

I give it you. from しゅーず→←I give it you. from 3部

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す