儚く、甘く、…繋ぐ。【5】［Reo.S］

He 23 ページ47

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「…あ、隼？ …ごめん、なんも…分かんね。
柏木にも謝っといて…。
俺、ツアー終わるまで、考えるのやめるわ。
お前も絶対その話しないで。頼む。」



帰りのタクシーの中、宣言するように

隼に電話で告げた。



隼「…りょ。」




多分、察して根回ししてくれたんだろう。


その日からGENEメンバーの中からも

Aの話が出る事は一切なくなった。



俺は何にも考えないように、

とにかく仕事に全力をかけて集中した。



最高のツアーを走り抜ける。


最高のパフォーマンスを届ける為に。




…きっと、見てるはずのAの為にも。



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H「…座って。」



ツアーファイナルを迎えた打ち上げの翌日、

HIROさんから呼び出しを受けた。



H「…玲於の方から突撃を受けるんじゃないか
って予想してたんだけど、外れたよ。
…大人になったな。」



俺は左右に首を振る。


「ビビってた、だけです。」



…正直、はじめは早く知りたかった。


けど、あれから崩れそうだった気持ちを

何度も "Aが見てる" って、

自分に言い聞かせて奮い立たせてきたから…


本当の事が俺には幸せな事実じゃなくて、

…本当に、もうAに会えない事を

知る事になったら、と思うと

…怖かった。



"うん、そっか…" HIROさんは小さく呟くと

俺の前に、一枚の写真を置いた。



「…あれ、これポスターの…じゃ、ない…」


H「……ケンゴ、これのデータを盗んでた。」


「えっ！？」



…そこからHIROさんが話してくれた事は

俺の想像をはるかに上回ってた。


聞きながら全身の血が沸騰するみたいに熱い。


…情けない、恥ずかしい…。


Aに全て包まれて、俺は守られて、

何にも、気付かなかった。



H「…卑怯な手で二人を追い込もうとした奴だ、
ケンゴが逆恨みするかもって気にしててさ。
徹底的に調べたから大丈夫なはずだけど…、
カオルさん、万が一って時にでも、
…お前がダメージ受けないようにって。
ほら、週刊誌にしろネットにしろ、
…相手が一般人だと掲載側も考えるだろ…？」


「だから、急に…辞めた？」


H「まぁ、大学を卒業するタイミングで
辞めるつもりでいたって言ってくれたけど、
早めたのは、完全にウチのせいだ…。
すまない。お前らを守ってやれなかった。」



HIROさんは俺なんかに頭を下げてくださった。


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