大切な人 1 ページ41
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…嫌だ。
…イヤだ。
ケンゴさんの唇の感触が唇から首筋へ移る。
ケンゴさんの掌が私の身体をなぞり始める。
腰、お尻、お腹、…胸…
段々、強い吐き気が込み上げる。
瞬き出来ないまま涙が零れていく。
このまま、私が我慢すればいいの?
これが、解決の方法?
でも、いつまで…?
…ずっと…?
……無理だよ、そんなの、
………そんなの、
『…イヤッ!!』
私は自分の出せるだけの力を振り絞って
ケンゴさんを突き飛ばした。
勢いよく後ろに倒れたケンゴさんの脇に
プロジェクターがドスンと落ちる。
私はハッとして、プロジェクターと繋がる
ノートPCに急いで飛び付いた。
ケ「っ痛っ…
お前…っ、ふざけんなよ!あっ!
おいっ!それこっちによこせっ!」
『私は、絶対に彼を傷付けない…』
大声を出すケンゴさんが踞っている間に
私は振りかぶって、ケンゴさんの近くの壁に
思いっきりノートPCを投げ付けた。
ガチャ!バリッ!!
ケ「おいっ!ふざけんなっ!」
ケンゴさんが割れて落ちたノートPCに
気を取られている間に店を飛び出した。
足は、速いはず。
走れ!走れ!走れ!
頑張れ、わたし! …今は、頑張れ!
少しでも明るい方へ向かう。
息が苦しい…。
でも必死で夜の街を走り抜けた。
.
『…はぁ、はぁ、はぁ…、』
どこをどう走ったか分からない。
大通りでタクシーを拾って家にたどり着いた。
あまりマンションから離れてなかったのか、
まだ息が切れたまま…。
『れ、玲於に…で、電話、を…』
震える手を必死で抑えて電話を掛ける。
『玲於…』
《…留守番電話サービスにお繋ぎします…》
…忙しいよね…。タイミング、合わないね…。
わたしたちはズレたままなのかな…。
…会いたい、…声が聞きたい。
昨日の朝の温もりを必死で思い出したいのに
さっきの嫌な感触が蘇る…。
『…うっ…』
駆け込んだトイレで全て吐いてしまう。
吐き気が止まらず涙が溢れる。
もう涙を拭う力は残ってなかった。
愛ちゃんに、電話…。
『…あ、愛ちゃん、…助けて…』
愛『…Aっ!?ちょっと?
どうしたのっ?…えっ?…泣かないで?』
一人で居たくない。
…愛ちゃんが来てくれるまでの時間は
永遠みたいに長く感じた。
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しをちゃ(プロフ) - まぁさんおはようございます!また読ませていただけるのかな?と思ってます! (2021年10月25日 4時) (レス) @page49 id: dc85e84606 (このIDを非表示/違反報告)
しをちゃ(プロフ) - まぁさんお元気ですか??? (2018年12月5日 13時) (レス) id: 2f52667945 (このIDを非表示/違反報告)
しをちゃ(プロフ) - まぁさんこんにちわ!やっぱり何度読ませて頂いても泣ける。゚(゚´Д`゚)゚。本当に好きです! (2018年4月6日 16時) (レス) id: 2f52667945 (このIDを非表示/違反報告)
しをちゃ(プロフ) - この終わり方私も好きです、ナケチャイマスケド(><)名古屋ドーム私も行きますよ!楽しみましょう!続き楽しみにしてます (2018年4月4日 13時) (レス) id: 2f52667945 (このIDを非表示/違反報告)
まぁ(プロフ) - まなさん» こんにちは!"カオル"は主人公の芸名です。私としては、主人公は本名非公開で芸能活動してた設定でお話を進めています。なのでずっとカオル呼びの登場人物もいます。お返事がズレていたら、ごめんなさい。 (2018年4月3日 1時) (レス) id: 3f78a71996 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まぁ | 作成日時:2018年1月11日 22時