儚く、甘く、…繋ぐ。【5】［Reo.S］

きっかけ 1 ページ11

.

二次会に訪れたのは

以前愛ちゃんの打ち上げで来た事のある

あの高級カラオケ店だった。



…微妙な思い出が蘇る。




亜嵐「…Aちゃん、改めて…久しぶり。」



案内された部屋の入口で、一人一人に

声を掛けていた白濱先輩と言葉を交わした。



『…お久しぶりです。』



白濱先輩とは、あれ以来だ…。



大丈夫だってずっと思ってたけど、

いざ目の前にしたら驚く程に緊張してる。


本当の意味で元に戻る事は難しいかも…



亜嵐「あ、のさ…」


『部外者がすみません、お邪魔します…』



少し作り笑いになってしまったけど、

ごめんなさい、許してください。


何か続けようとしてくれた言葉は、

まだ今は聞く勇気が出ないから。


.



玲於には、私の事は気にせずにみなさんと

楽しむように言って、私はカウンター席で

場の盛り上がりを眺めていた。



愛『Aは歌わないの？
…あれ？ジュース！もうアルコール終わり？』


『うん、終わり〜。浮腫んだら仕事的にね…！
それに、見てる方が楽しいよ。ほら、生で
バラエティー番組を見てるみたいなの。』


愛『なるほどね。』


クスッと笑いながら愛ちゃんが隣に腰掛けた。


愛『…ふぅ。……ね、A…。
あの二人が私達の事、
何て紹介したか、聞いた？』


『え！？もう、紹介って終わってたの？』


愛『そだよ。Aが長〜いお手洗いに
行ってる時にさっ。』


『…あ！ じゃあ、ねぇ、愛ちゃんって、
…さっき潰れてたの、演技でしょ…？』


愛ちゃんは一瞬だけ舌をチロッと覗かせる。


愛『…それは、ご想像にお任せするとして。
…はいはい、何て紹介したでしょうか。』


…正直、全く想像がつかなかった。


『同級生？』


愛『うんうん、あるね。…それに？』


『それに？…え？まだある？…えぇ何だろ…。
今は、…他に説明出来る言葉がないよ？』



愛『…隼はね、ま、私達はね、お互いの事を
どう説明するか決めてるから、普通に
"女友達"って言った。実際、そうだし…。
それ以上でも、それ以下でもない…。』

きっかけ 2→←彼の世界 10

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す