歌い手系カフェ店員と声優さん

13杯 ページ14

そんな静かな中浅沼さんが口を開いた

「Aちゃんに俺の手がける舞台に出てほしい
ヒロイン役として、」

？？？

『え？どうゆうことですか？』

「Aちゃんが、アイリスとして活動してるのを
聞いて、調べたんだ、歌はもちろん声劇も！
Aちゃんのチャンネルにあるの全部聴いた」

『ぜ、、、全部とは、、、つまり、、』

「文字通り」

『oh...』

「で、俺正直舐めてたのかもしれないけど、
すごい引き込まれたんだ、息づかい、声の強弱の付け方、全てに」

こんなに面と向かって褒められたの初めて

恥ずかしい反面褒められて嬉しい

『あ、ありがとうございます』

「それで、、俺気づいたらヒロイン役の台本を
全部Aちゃんイメージで作っちゃって」

へ？

「いや、ほんとに申し訳ないんだけど、
俺、それくらい君の演技に引き込まれた」

『でも、それは声であって体を使ってじゃないから、舞台には向いてないと、、』

「子役時代の舞台DVD 」

もしかして、もしかすると

「劇団ひまわりだった宮野真守に聞いて
お願いしたら貸してくれた」

ですよね〜
あのふたりは幼い私の先輩であり
良くしてくれた人たちだ

私がアイリスってことも知ってる


「すごいよ、君の名前出した瞬間食いついてきて次の日に会いに来てまでふたりともDVD貸してくれた

それで演技もすごかった体全体での表現が
すごく上手だ、高校の演劇部のも見た」


『ありがとうございますでも、舞台には
出れません、諦めた夢ですこんな半端な気持ちで
舞台に出るのは他の演者さんにも失礼ですし』

「君の諦めた夢、俺に叶えさせてくれない？

なんで諦めたか知らないけど、まだ諦めきれてないよね？だから声劇とかやってるんだよね？」

正直図星だった

『で、、でも、！』

「この舞台のヒロイン役は、、、



君じゃないとダメなんだ！」
この言葉が心に突き刺さった


必要とされてる


断れない

でも、、

『しばらく演技もしてないです
きっと舞台に何時間も立つ体力もないです』

「生放送での声劇すごかった

ライブ映像、少しだけ天月くんに見せてもらった、十分だ！！！」

『でもでも、、、、』

「大丈夫！！不安ならレッスン積んでいこ！
俺も全力でサポートする！一緒に頑張ろう！」


浅沼さんがこんなに必死に私を説得してくれてる

こんなに幸せなことある？？
それに一度手放した夢をもう一度掴む機会を与えてくれてる

このチャンスを逃すのは相当勿体無いのでは？

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