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「！マー、ク…？」
後ろから腕を回してギュッと抱き締められる感覚が。
そんな事が出来るのは、隣で寝ているマークだけだ。
突然の温もりに溢れる涙がピタリと止んだ。
「泣かないでくれよ…お前には、笑っていて欲しいんだ」
切なげに呟かれた彼の言葉。
私もくるりと体を反転させて、彼と目を合わせる。
大きな手が私の目元の涙を優しく拭ってくれた。
「俺も…本音を言えば、Aと離れたくなんかないさ。好きなんだから当たり前だ。だが…明日には別々の国へと帰らなければならない」
マークも私も、いつかこうなる時が来るのは分かっていた。
だから最後に思い出作りとして、今日はずっと一緒にいる事を選んだのだから。
それでも人間は欲張りなもので…いざ現実を目の前にすると、それを拒んでしまいたくなるどうしようもない生き物だ。
「なあ、俺がお前に告白した時…諦めたくないって言ったの覚えてるか？」
彼が公園で私に想いを告げてくれた日。
生まれも育ちも違う私達にはどうしても色々な壁が出来てしまう。
けれども、彼はそんな事で諦めたくはない…と確かに言ってくれたんだ。
「うん、覚えてるよ。すごく嬉しかったから…」
「俺は今でも気持ちは変わらない。どんなに遠く離れていようが、Aを手離すつもりはないさ。…ちょっとカッコつけすぎたか」
「ふふっ…そんな事ない」
たまらなく愛おしくなって、彼の胸に顔を寄せる。
そんな私の頭を相変わらず優しく撫でてくれる彼の手。
顔を上げれば必然的に綺麗な瞳と目が合う。
彼の顔が段々と近づいてくるのが分かれば、私はそっと目を閉じるだけ。
何度交わしたかも分からないキス。
いくらしても、したりない。
どうしたらもっと…マークを感じられるんだろう。
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作者名：結川 | 作者ホームページ：https://www.pixiv.net/users/17663132
作成日時：2021年8月23日 16時
