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「油断も隙も無いな…」
「ふふ。でも、会えて良かったんじゃない?」

私がそうやって聞けばマークは少し目を見開いた後、すぐに笑ってくれた。
そのまま私を抱き寄せると、唇には優しくて温かい感触が。

「俺以外の男に会えて嬉しいなんて、聞き捨てならないな」
「えぇ!?そんなつもりじゃ…!」
「ぷっ…ほら、早く行くぞ」

再び私の手を取ると、彼はデートを再開する。
マーク、楽しそうだな…
私の手を引いて歩く背中を見ながら、心の中で愛おしい気持ちを募らせていった。



やはり大好きな人と過ごす時間はあっという間で、気付けばもう日が暮れ始めていた。
計画していた通り、日が沈み切る前に海へと足を運ぶ。
お互い水着に着替えるため一旦別れてから再び海辺で合流する事に。


「あ…お、お待たせ…っ」


既に着替え終えたマークを見つけて、私は緊張しながらも覚悟を決めてその背中に声を掛けた。
こちらに振り返った彼の顔は、夕日の逆光でよく見えない。
だけど、何も言わずにただじっと私を見つめているのは分かる。

「…今この場に俺達だけで本当に良かった……特にフィディオには見せられないからな」
「あの、マーク…?やっぱり変…だったかな……」

何やら一人で呟いている彼の顔を覗き込めば、ハッとした表情の後にすぐ首を横に振った。


「そんな訳ないだろ。似合い過ぎて、目のやり場に困るくらいだ…」
「!」


恥ずかしさで少しの間だけ微妙な空気が流れる。
その時、改めてマークを見てみた。
私も彼の水着姿を見たのは初めてで、こんなに肌を出しているのはとても新鮮だ。
引き締まった体に程よくついた筋肉…やはりどうしても目がいってしまう。
だから余計に恥ずかしくなって、また顔を逸らした。

「あー…取り敢えず海に入るか。時間も無い事だしな」
「そっそうだね…!」

気を取り直したところで、彼に手を引かれながら二人で海に入る。
冷たい海水が肌に当たって気持ちいい。

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作者名:結川 | 作者ホームページ:https://www.pixiv.net/users/17663132  
作成日時:2021年8月23日 16時

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