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だから私はその場で少し背伸びをした。
2、3秒の後、重ねていた唇をゆっくりと離せば、目を見開いたままのマークが私を見ていた。

「ふふ…今日のお礼、だよ」
「!やられたよ…」

今度は照れたように笑ってくれて、それがまた私の胸をキュンとさせる。
マークも…私と同じようになってくれてたらいいな。


そして海から私の宿前まで戻ってきたところで足を止める。

「マーク、今日は本当にありがとう。貴方が来てくれたから、今夜はよく眠れそうだよ」
「ああ、俺もだ。これで明日はもう大丈夫だな」

うん、と頷けば彼も頷き返してくれた。

こうして少し会うだけでも、今夜だけでなく明日の不安も取り除いてくれる彼は、私にとって最高の安定剤でもあるかもしれない。
それだけ大きな存在なんだ…マークという人は。


「じゃあ、また明日…会場でな。おやすみ」
「明日…ね。おやすみなさい」


繋いでいた手をゆっくりと離していく。
手が離れて私に背を向けた彼は歩き出した。
その背中を見送る私の心はとても落ち着いていて。


「…ありがとう、マーク」


精一杯の感謝を込めて、大好きな彼の背中に向かってそっと呟いたんだ。

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作者名:結川 | 作者ホームページ:https://www.pixiv.net/users/17663132  
作成日時:2021年8月23日 16時

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