一節 夜雨対牀 ページ29
「結構危険じゃなかったね」
「心臓飛び出るかと思ったよ！ヒトハのバカぁ！！！」
「ほら、泣かないでくださいヤイチ。恥ずかしいですよ」
「私も…ごめん」
「楽しかったー！！また通りたいね！案外明るかったし！」
三つある内の一つの道を歩き終え、その奥にある扉を開けようとしている五人はそんな会話をしていた。
まるで緊張感がない。今から新しい棟に踏み入れるというのに。
「さて、気持ちを入れ替えてください。扉を開けます。もしかしたら目の前に敵がいる可能性があります。自分たちだけでは対処できる相手でないかもしれません。もしものことがあれば、ヒトハ。迷わずその拳銃を発砲してください。」
「わぉ、よく噛まずに言えたね。わかった。ウチは容赦なく撃つから、後悔してもしらないよ？」
ヒトハだけではなく、ナズナ、ミナも臨戦態勢をとる。
「あ…そういえば……ミナが欲しがってた斧、取り忘れてた……」
「そうだった！まぁ忘れてたから、そんなに大事じゃなかったんだ！！」
「開けますよ、準備はいいですか？」
この渡り通路に人…研究員がいないのは可笑しい
そんなことを思いつつ、ムクは取っ手に手をかけ、引く。
「…あれ、拍子抜けだ」
独り言のように呟き落としたのはヤイチだった。
本当に拍子抜けと言えるほど、目の前には真っ白い壁が見えるだけだった。
「……っばぁああああああああああああああ！！！！！」
「「「「「うわあああああああああああああああああああ！！！？？」」」」」
…怪物のような大声を出して、横から飛び出てきたのは、どちらも片腕が長い双子だった。
「あっはっはっは！！ねぇ、この人たち超面白いんだけどどうしよう！ねぇトコナツ？」
「初めて会った【失敗作】を片っ端から驚かせるの止めようよココナツ」
ココナツと呼ばれた【失敗作】は、右腕が長く、そして右目の白い部分が黒く、三角形の髪留めを付けていた。常に弧を描くその口は嬉しそうに綻ぶ。
トコナツと呼ばれた【失敗作】は、左腕が長く、そして左目の白い部分が黒く、逆三角形の髪留めを付けていた。不満そうに頬を膨らませているその口からはあまり愉快な言葉は出てこない。
「さぁようこそ第三棟のみなさん！ここは第二棟。個性的なわたしたちにうんざりしないよーに」
「ココナツも変人だけど、他の奴らも変人だから、絡まれないよう気をつけるよーに」
何故かここだけは双子らしく、声が揃うのであった。
…言っていることは違うが。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 11人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
真裏(プロフ) - ひいらぎ@オリフラ外し隊さん» いえいえ、そんな…！あなたのコメントは消さずに残しておきます。 (2018年9月19日 16時) (
レス) id: a0b96c91a2 (このIDを非表示/違反報告)
ひいらぎ@オリフラ外し隊(プロフ) - 真裏さん» そんなに暗い感じにさせてしまってすみません！ただ､気を付けて欲しかっただけなんです。ご丁寧に返信していただき､ありがとうございました。なお､私のコメントは消していただいても構いません！ (2018年9月5日 19時) (レス) id: 303fe49996 (このIDを非表示/違反報告)
真裏(プロフ) - ひいらぎ@オリフラ外し隊さん» ご指摘ありがとうございます。配慮が至らなかった点については申し訳ないです。今後はこういったことが起こらないように注意していきます。 (2018年9月5日 19時) (レス) id: a0b96c91a2 (このIDを非表示/違反報告)
ひいらぎ@オリフラ外し隊(プロフ) - 失礼します。この作品の説明欄に｢ヒロアカ｣という単語があります｡オリフラが立っているので､｢ヒ〇アカ｣などとぼかすか､その部分を消したりした方が良いかと…｡ (2018年9月5日 17時) (レス) id: 303fe49996 (このIDを非表示/違反報告)
納豆(プロフ) - ありがとう！ボケボケの記憶を頼りに青で描きましたぜ！ (2018年1月23日 19時) (レス) id: c8bcc7c146 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：真裏 | 作成日時：2017年10月8日 1時
