【実/況/者】ぱられる2【短編集】 (ページ7)

今日:1 hit、昨日:5 hit、合計:42,623 hit

席替え@p-p ページ7

.

運子と呼ばれる強運の持ち主つわはすさんを日頃の行いの良さで打ち破り、僕は窓側の一番後ろというベストポジションを獲得していた。

これだけでも報われた気になるのだが、少し贅沢を言えば隣の席は常識のある人がいいなと思っていた。
それは前の隣のキヨ君が宿題見せろだの教科書忘れただのとうるさかったせいであるが、まぁそれを乗り越えたお陰で今の席になれたと考えて水に流そう。

さてと、席につき肝心の隣を確認しようと横を向くと碧色の髪を揺らす少女がそこにいた。

「...さ、佐藤さん」
「お、ぴーぴーくんではないか。Aでいいよ。
しっかし、はすおの三年連続ベストポジションはぴーぴーくんに阻止されたかぁ」

特別仲が良い訳でもないのにフレンドリーに話しかけてきた彼女、つわはすさんの幼馴染みこと佐藤Aさん。
彼女は変人だと有名だったが、その打ち解けやすい性格と人懐っこい笑顔に惹かれる男子生徒も少なくない。そして何より僕もその生徒の内の一人である。

「僕が隣じゃだめかな？」
「ううん、大満足の大歓迎だよ」

彼女は無意識なんだろうが目を細めて笑う姿はとても綺麗で、やっぱり変わっていると一言で言っても、端正な顔立ちにはかわりないんだなと実感させられた。

......今日の星座占いが1位で良かった。

心の底からそう思った。

　