【実/況/者】ぱられる2【短編集】 (ページ5)

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炭酸×@towaco ページ5

「...暑い」

彼はそう呟いて、照りつける太陽を恨めしそうに睨んだ。

・

彼、永久狐は夏が苦手である。

6月の時点で「溶ける」などと抜かし、この時期は食欲さえも消えていた。

そんな中、彼が唯一口にする飲料はほぼ100%の確率で炭酸だった。

「冷たい...」

しゅわしゅわと弾ける炭酸飲料の入ったコップを手にしつつ、彼はふぅ、と息を吐く。

「永久狐、食べなきゃ更に具合悪くなるよ」

「...そんなこと言われても、食欲湧かんのですわ」

涼しげな和服を着ている上に扇子持って更に炭酸何てものを飲んでいる癖によく言う、暑いのは此方だっての。

「んー、Aが作って、食わせてくれるなら別ですけどね」

「一生炭酸飲んでろ狐野郎」

「酷いもんやなぁ」

「ってかさ、炭酸って、骨溶けるんじゃないの?永久狐、身体の前に骨溶けるよ?」

「そんなん、迷信やぞ」

ごろん、と私の膝の上に頭を置いた永久狐は言う。

「もういっそ炭酸になりたい」

「何で」

「もうしゅわしゅわしてる時点で涼しげでええやん。」

「...私は...永久狐に幸せそーに飲んで貰えるなら炭酸でもいいかなー...なんちゃって」

くすっと笑って永久狐を見やると、片手で顔を覆っている。

「...?」

「なんか...クるやん、そういうの...」

こいつの興奮するポイントがいまいち掴めない。

永久狐は、悶々としていた。