．最初から負け組だった私

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次の引っ越し先はきちんとした一軒家だった



もうあと十年は転勤はないという



ほっとした








そして幼稚園に通いだした



幼稚園は保育園より毎月の出費が多い



まあ当時はそんなこと知らなかったわけだけど



だから幼稚園には色々な楽しそうな設備があった



おやつも毎日おいしくて



楽しかった







でも








友達が居なかった



友達を作りたくなかった、といったほうが正確かもしれない



そこで私に声を掛けてきた子がいた



かずちゃん、とでもしておこう。本名は違うが



かずちゃんは私と遊んでくれるようになった



家も小学校を卒業するまで転勤はない



この子と仲良くしたい



そう思った









劇発表会の時も、同じ役を演じた



音楽発表会の時も、一緒にピアノを弾いた



楽しかった



そしてもう一人友達ができた



こっちゃんという子だった



こっちゃんは私と違って背が低く、とってもかわいかった



すぐに仲良くなった私達。帰り道も一緒だ









ある日、こっちゃんが私にお早うと言ってきた



お早うと返す。するとこっちゃんがこんなことを言い出した







「今日ってね、ひがしにほんだいしんさいっていう日なんだって。知ってた？」








東日本大震災。今日お母さんから聞いた。



沢山の人が亡くなった、死んじゃった震災



それをこっちゃんは笑顔で自慢げに話し出した







私は思わず彼女の頬をぶった







パシン



音が教室に響いた







こっちゃんは必然的に泣いた



先生が来る









……………………………………………………………………………………またやってしまった



私はこっちゃんと友達をやめた





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