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「あの…!良かったら、連絡先教えてもらえませんか…?」
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勇気を出して振り絞った声は、語尾が細くなって消え入るボリュームになってしまった。
今まで生きてきて、初対面の男の人に自分から連絡先聞くなんて、初めてだ。
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なかなか聞こえない王子様の返事に、我に帰る。
何言っちゃってんの、私!
カァっと熱くなる頬を両手で挟んでただただ俯くことしかできない。
嘘です、突然すいません。声を出そうと息を吸った瞬間、
頭の上に優しく手が置かれた。
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「…ねえ、ちょっと助けてもらったり優しくされたりしただけで連絡先聞いちゃうの?」
俯いていた顔を下からそーっと覗き込まれた。
目が合った王子様は、ひどく心配そうな顔をしている。
「危ないよ、そんなの。」
さっきまでニコニコしていた王子様の笑顔はどこかへ消え、
真面目な顔になってる。いやむしろちょっと怒ってる…?
「もし俺がめっちゃ悪い奴だったらどうする気なの?変なところ連れて行かれて襲われたりしたら…?…ヤバイでしょ、それ。女の子は逃げられるわけないんだから。」
やっぱり、ちょっと怒ってる。
「すいませんでした…」
完全に萎縮してしまった私を見て、次はふっと微笑んだ。
「可愛いんだから自覚しないとダメだぞっ」
ドッキュン。
バッキュン。
なに、今の?
やっぱり違う。危ない男の人だなんて思えるわけないじゃない。
私、人を見る目だけはあるもん。
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「…人生で初めての一目惚れなんです、連絡先教えてくださいっ!」
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よくあるドラマのワンシーンのよう。
頭を下げて王子様の方へ手を伸ばす。
多分。周りの人に何事か、という目で見られている、はず。
多分。私の顔は信じられないぐらい赤い、はず。
多分。
…王子様は、困り顔で笑っている、はず。
…どう断ろうか、悩んでいる、はず。
…だと思ったのに
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「なんだよ、もう〜照れるじゃんか〜!」
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そんなこと言いながら私の手を握って
とびきりの笑顔を向けられる。
あれ、王子様もちょっと顔赤い?
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「…名前、教えてよ。」
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甘くて優しい声に、既に脳みそがとろけそう。
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作者名:コツメ | 作成日時:2019年6月10日 22時