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それはまるで二人で居る未来も、皆で居る未来もいつまでも永く続いていくのだと思える誓いの言葉の様で

一瞬だけ唇が触れてすぐ離れたのは神聖な場所で交わす誓いの口付けの様で

じわり、と一気に込み上げてきた涙が頬を伝って零れ出した




「もう、そんなに涙脆かったっけ?」

「だ、って……たいすけ、が……っ、」

「泣き顔じゃなくて可愛い笑顔見せてよ」

「………ぅ〜〜、っ……」

「ったく、」




「仕方ないなぁ」て笑う太輔の手が顔に触れる直前自分から思いっきり抱きついた

今は、これ以上何かを口にしようとしてもまともに話せる気がしないから

くれた言葉への"返事"はどうか、ちゃんと目を見て返せるまでもう少しだけ待っていて欲しい

直接伝えなきゃ届かないと分かってはいても心の中でそう思うだけで精一杯だった

宥めるみたく、背中と頭を優しく撫でてくれる太輔の手の温もりを感じながら、俺は小さな子供の様に暫くグズグズと泣き続けた






「じゃぁ行ってきます。終わったら即行帰ってくるから」

「ん。気を付けてな」




翌日、丸一日オフの俺とは真逆に今日も朝から晩までみっちりスケジュールが詰まってる太輔を玄関で見送る

長時間離れるのは此奴の体調的にも心配ではあるが、だからといって現場まで着いて行く訳には流石にいかない

何かあったらすぐマネージャーに頼るようにと念には念を押して送り出した




「…さて、と」




玄関のドアが閉まり足音が聞こえなくなったら廊下を戻りまずは朝食で使った食器類の洗い物

その次は脱水まで終えた衣服たちを洗濯機から取り出してベランダに干し、

あ、そうだ。天気良いから布団もついでに干しちゃおう

もう一回洗濯機回してシーツや枕カバーも洗うか

脳内であれこれやる事をシュミレーションしながらパタパタ忙しなく動き回り、布団類を纏める為に寝室へ戻る

空気の入れ替えで開けていた窓を閉めた際、ベッドすぐ近くの棚の上に仲良く並んで座ってるくまのぬいぐるみが目に入った

あの日、此処から一度自分の荷物を全て引き上げた日

一人置いていくのは酷だからと赤いバンダナが巻かれた分身も一緒に連れて帰った




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☾→←☾



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kurumi(プロフ) - aaaさん» 切なくなったりドキドキしたり…そんなお話が書けたらと思っていたので楽しんで頂けていたら何よりです(*´˘`*)私もFさんは月のイメージでした。でも此のKiさんにとっては太陽なんですよね。逆にFさんにとっては…。ありがとうございます!最後までよろしくお願いします (2022年10月5日 22時) (レス) id: 65b4911c20 (このIDを非表示/違反報告)
aaa(プロフ) - このお話、いったいどう着地するんだろうとドキドキしながら読ませて頂いてたのでちょっとホッとしてます。Fくんって太陽の太が入ってるのに月のイメージなんですよね。。月の満ち欠けで進むお話素敵ですね。続きが楽しみです。 (2022年10月5日 19時) (レス) @page27 id: 28fb511570 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:kurumi | 作成日時:2022年8月4日 0時

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