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"俺もずっと好きだった"と泣きながら答えた

それと同時にまだまだ難しい世の中なのも、決して簡単な道ではないことも、守るべきものが一気に増えたことも

全部理解して、背負って生きていく覚悟も決めた

そのどれもが安易にではないんだと伝えたくて分かって欲しくて

"隣に居たい"と願った

そんな俺の言葉に藤ヶ谷は目元に薄ら涙を溜めてはにかみながら頷いてくれた顔は今でもハッキリ覚えてる

もう随分と見れていない優しく愛情溢れた大好きな笑顔

自分の前でのその表情でさえ、もしかしたら彼奴から奪ってしまったのは俺なのだろうか

まともに傍にも居らず、大変な辛い時に支える事もせず、体調を崩してたことにも気付かず、果たして恋人だなんて言えるのかすら危うい自身は一体彼奴にとっての何なのか疑問に思えてくる




「…はぁ、情けねぇな…」




此処数日でもう何度零したかも分からない自嘲と溜息

ゆっくり窓辺に近付いて外に広がる夜空に視線を移す

そこには、大切な"相棒"のお陰で綺麗に輝く暗闇を照らす光りが浮かんでいた




「…変わらず、お前の傍には"太陽"が居てくれるんだな」




あの日から、初めて「別れよう」と言われる夢を見た日の満月から、日に日に欠けていく月を今日も見上げる

電気も全て消して真っ暗な部屋から眺める空

そこに浮かぶ太陽の光が無いと輝けない月

綺麗なまん丸だったものは徐々に欠けていき、今は丁度半分程しか見えていない

少しづつ暗くなっていく、真っ暗な闇に飲まれていく様な姿はまるで自分の心そっくりだ




「この月が新月になる頃には俺らの関係も終わるのかもな…」




ならばもう、いっそのこと自分から先に身を引くのが得策なのか
藤ヶ谷と俺は例えるなら光と影

太陽と月

唯一、輝く為に照らし続けてくれた存在を手放す

すぐ傍から離れて距離を置く

ただのメンバー同士に戻る

その決断もいい加減しないと、

…だってもう、俺にとっての"太陽"はずっとその光を見せてはくれていないから

とっくに俺は一人なんだ




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二十六夜月→←下弦の月



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kurumi(プロフ) - aaaさん» 切なくなったりドキドキしたり…そんなお話が書けたらと思っていたので楽しんで頂けていたら何よりです(*´˘`*)私もFさんは月のイメージでした。でも此のKiさんにとっては太陽なんですよね。逆にFさんにとっては…。ありがとうございます!最後までよろしくお願いします (2022年10月5日 22時) (レス) id: 65b4911c20 (このIDを非表示/違反報告)
aaa(プロフ) - このお話、いったいどう着地するんだろうとドキドキしながら読ませて頂いてたのでちょっとホッとしてます。Fくんって太陽の太が入ってるのに月のイメージなんですよね。。月の満ち欠けで進むお話素敵ですね。続きが楽しみです。 (2022年10月5日 19時) (レス) @page27 id: 28fb511570 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:kurumi | 作成日時:2022年8月4日 0時

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