Forever girl (ページ22)

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それが此奴の"素"なんだと思うと、自分にだけ隠さず見せてくれるという"優越感"がやはり堪らなく嬉しかった

でもだからといっていつもは決して我慢してるという訳でもなく、

おそらく、人を、周りを見て空気を読む事も相手の気持ちを汲み取る事も自然と出来てズバ抜けて上手いからこそ、誰かと一緒に居る時と、完全オフモードになる時

その切り替えも意識せず出来ているのかもしれない

何処かで無理をさせていないのなら

本当の意味で素になれるタイミングがあるのなら

…そしてそれが俺と居る時も含まれてるのなら

幸せってこんな風にも感じる事が出来るんだな

「……太輔、」

「ん？」

頭の中はだいぶ冷静になれてきた

でも結局出てくる言葉は辛うじて名前を紡ぐ程度で、

…こういう時、一体何て返すのが正解なのかが分からない

「……ありがとう…、」

やっと言えたのはお礼の一言のみ

でもお前は嬉しそうに目元を緩めて見つめ返してくれる

きっと言いたい事伝えたい事、全部言葉にしなくても分かってくれてるのかな

「ふふ。どういたしまして。気に入ってくれた？」

「…ん、…」

「よかった。 …じゃぁ早速だけど、このまま俺と歩いて貰えるかな」

太輔が目線を向けた先にはステンドグラス越しに太陽の光りが差し込み、キラキラと輝いてるようにも見える主祭壇

牧師や神父も居ない、見守ってくれる参列者も居ない

今このチャペルには文字通り、太輔と俺の二人だけ

スッ、と差し出された右手に今度は迷う事無く自らの手を乗せる

そのまま優しく引かれ太輔の左腕と俺の右腕が組まされた

ゆっくりと、一歩一歩大切に進むバージンロード

男としてこの世に性を受けた以上、俺が此処に立つのは主祭壇の前で父親と歩いてくる花嫁を待つ時だけだと思っていた

もしくは娘が産まれたりしたら将来その我が子と腕を組んで、自分が父親として歩くか

…高校生の時に同級生に衝撃を受けて飛び込んだこの世界

それまでも、それからも勿論俺が好きなのは女性だった

今でも"男が好きなのか"と問われれば"違う"と即答は出来る

…ただ、好きになってしまったから

俺より先に入所して立場的には先輩だった此奴に、

年下のくせして俺より背高いし、生意気だし、でも屈託のない笑顔を見せてくれたり、

"きたーま"てちょっと舌足らずな呼び名で呼ばれたり、

最初は可愛い弟のような存在だった

いつしかシンメとして隣に並ぶようになった

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