34時間 ページ12
朝起きるとヴィクトルは部屋にはおらず、代わりに大和がいた。「パン屋行ってた」と言った大和の手には焼きたてのパン。私の分も買ってきてくれたらしく、私は歯磨きと洗顔をしてから食べることにした。
「考えられた？」
「…あんまり。でも、一つだけ思いついた事がある」
「へぇ。よかったね」
大和はあまり干渉してこない。話す事が得意ではない私にとっては、それはとても有り難かった。
身支度を済ませ、ホテルを出る。
すると、ロビーにいた報道陣数名が私に気づきカメラを回してきた。
「あの、勝生選手の関係者の方ですよね？勝生選手は今シーズンで引退されるんですか？」
「…わかりません。ただ、それは望まれてはいない事であることは確かです」
「それは…誰にとってですか？」
「みんなです。彼のコーチもライバルも、友だちも、私も。そしてきっと、彼自身にもです」
もし勇利が今日、金メダルをとったら本当に辞めてしまう。いい演技をするなとは言えない。ただ、彼を上回る誰かに期待してしまう。負けず嫌いな勇利は、きっとそれに感化されて継続すると私は踏んでいる。それができるのは今の時点ではきっとユリオだけ。
勇利だって、続けられるものなら続けたいと思っているはずだ。それにはヴィクトルがコーチでなければならない。しかし、それをロシア側が許すとは思わない。勇利はきっとヴィクトルをロシアに返さなければと思っている。自分の意思ではなく、みんなのヴィクトルへの期待を優先してしまっているのだ。
「もっとわがまま言えばいいのに、って思うんですけど。難しいみたいです」
「え？あの…」
「失礼します」
報道陣を振り切るように早足でホテルを出た。
大和はニヤニヤして私の隣を歩いている。
「いや〜、Aさんは勝生くんのことが大好きなんですなぁ〜」
「好きなのは当然。というか、そういうの関係なく見てれば分かるよ」
勇利の思考回路をマニュアルに当てはめてはいけない。勇利は、言ってはなんだが面倒臭い思考回路をしている。
自分を卑下し、まわりの目を気にして他人を優先する。しかし、負けず嫌い。自信がある部分を見せつけて他人を寄せ付けない。
「引退したら、それは勇利の決断だから何も言わないけど。それはまわりは許さないし、させないだろうね」
「へー。ユーリ・プリセツキーとか？」
「うん」
話しているうちに会場に到着した。
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みのりん - めっちゃ感動したし胸キュンも止まりませんでした(*´Д｀*)素敵な作品を有難うございました！ (2018年2月24日 0時) (
レス) id: d4ae6c081b (このIDを非表示/違反報告)
うたプリ大好き?(プロフ) - http://nanos.jp/messenger29/閲覧出来ませんでした。サイト名載せていただけると助かります！ (2017年7月29日 22時) (レス) id: 4e8990689c (このIDを非表示/違反報告)
佳歩(プロフ) - http://nanos.jp/messenger29/で調べたのですが閲覧できませんと出てしまい他の調べ方などないですか？ (2017年7月29日 19時) (レス) id: c55f7a31e6 (このIDを非表示/違反報告)
柚子 - 宇佐木さん» 残念ですが、見つかりませんでした…。 (2017年2月24日 6時) (レス) id: 2ff9f67844 (このIDを非表示/違反報告)
宇佐木(プロフ) - 柚子さん» 「ずっと待ってる。番外編」としています。私も対応できるよう努めますので、いつまでも見つからない場合はご面倒だとは思いますがまたご連絡ください。よろしくお願いしますm(_ _)m (2017年2月23日 7時) (レス) id: 871fe467c0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：宇佐木 | 作成日時：2017年1月10日 21時
