愛の監獄 【ヤンデレ】【太宰治】

誘拐 ４ ページ4

・



『中也？帰ってきてるの？』





ついさっき電話ではもうすぐ帰ると言ってたけどもしかしたらもう帰ってきてるのかもしれない



それに玄関の靴も、新しく買ってきた靴かもしれない

散乱してる靴までは何故そうしてるのかわからないけど、今は中也が帰ってきているとしか考えられない



ポートマフィアの幹部である中也の家だもの、セキュリティは抜群だし鍵だって特殊加工されているし、普通は入ってこられない





『中也？早く出てきて？』





呼びかけるも、何も応答がない

仕方ない、とため息を吐きソファに手を付きながら立ち、ゆっくりと廊下まで向かう





『中〜也！隠れてないで出てきてよ』





半開きの扉を開け、玄関まで向かう

やはり、そこには変わらず靴が散乱し見覚えのない靴が置いてあるままだった





『ちゅや…っん！』





何が何だかわからなかった






目の前が暗くなる

視界がぼやける





瞼が落ちる





中也

じゃないの？





誰…なの



・





『…ッは』





目が覚めたのは、見覚えのない部屋だった



天井は灰色で、起き上がってみると、どうやら白いシーツが引かれたスプリングのベッドに寝かされていた

布団は掛けられて居なかったが、あまり肌寒さは感じない



辺りを見回すも、やはり薄暗いままで、家具なんかはどこにも置いていない

寝室程度の小さな部屋だったが、比較的大きなベッド一つ置いてある薄暗い部屋はかなり恐怖心を煽らせられた





『どこ？…ひっ！なに…これ？！』





足首にひやりとした何か冷たく固い物が触れた

ベッドの脚から輪状になった鉄が互いに組み合わされ、私の足に巻き付いている





『く、さり…？！首にも…ッ？！』





ずしりとした重みが肩にかかると、それはまた同じ鎖が巻き付かれていた

誘拐 ５→←誘拐 ３

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す