愛の監獄 【ヤンデレ】【太宰治】

逃走 ２７ ページ27

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空が水色になりかけている



夜が明け始めた





ここはどこなのかもわからず、帰る場所すらない



勿論、知らない土地の野外で一睡ができる程肝は座っていない





『はあ……。』





静かな朝に溜息が浮かぶ



お腹も空いているし、とにかく寒い





彼は、どうしているだろうか



私が居なくなって、探しているのだろうか





中也は、助けに来てくれる？





『ちゅ…や…っ』





大の大人が早朝から泣いていては二度見されるに違いない





どうしてこうなった？



どこから間違った？



中也と夢見た幸せな家庭はどうして





全部が崩壊していく





私の周りの全てが私から離れていく









「……ッ貴様、何者だ！！」









『…っ！！』









聞き覚えのある声と伸びる黒布



向こうは逆光のせいで私が見えていない





「答えろ、さもなくばここ…で……！！」





『…わたしは…中原、Aです





久しぶり……





芥川君』





最悪だ


彼の前でみっともない姿を見せてしまった





会ったのは本当に数える程度しか無く、面識がある、程度の関係





「何故、このような場に…？」





『あ…』





芥川君は中也と同じマフィアなのは勿論知ってる



指名手配犯なのも





これは言った方がいいのかな



いや、だけど何も関係の無い芥川君をまで巻き込みたくはない



でも…



もしかしたら、中也に会わせてくれるかもしれない





「…何か、仰る事の出来ない事情がお有りなのですか？」





『…そういう事ではないんだ』





彼は心配そうに顔を覗き込む



決して言えない内容ではないけど、もうこれ以上巻き込みたくはない





「なら、何故……？」





『……少しだけ長くなるんだけどね、───────』

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