誘拐 3 ページ3
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『なに、あれ…?』
私の黒いスニーカーの隣にぴったりと寄り添うように置かれた、見覚えのない靴
そしてぶちまけられている中也の靴がそこら中に散乱している
『…ッ!!』
恐怖で顔が引き攣る
中也はまだ帰ってこない
プルルルッ──────────
咄嗟に、テーブルの淵に置いてあった携帯に手を伸ばし、震える指を動かしながら電話帳から"中原中也"を探す
【────もしもし、A?】
『ちゅ、や…!!!』
電話越しに聞こえる声に酷く安心した
【なんだ?どうかしたのか?】
『は、やく帰ってきて…!お願いっ…』
訳の分からない恐怖に押し潰されそうになりながらも、必死に中也に助けを乞う事しかできなかった
【どうした?俺はもうすぐで帰れる。】
仕事中に電話をかけ私の変な日本語でもイラつきもせず、優しく宥めてくれる
『ほんと…?待ってる…』
【嗚呼、じゃあな。なんかあったらまた電話しろよ?】
プツッ─────────
目の前には、まだ恋愛ドラマの続きが映っていた
特に興味もなく、もっと明るいチャンネルに変えようとリモコンを手に取り、適当にボタンを押す
呼吸が、器官が、心臓が
『…はっ…ッ』
止まった
ほんの一瞬、チャンネルの変わる寸前の黒い画面が灯りに反射してリビングを映し出した
ソファとダイニングテーブルと台所に廊下へ続く扉が奥に見えた
ど真ん中に映る私の背後に長身のコートを身に纏った男が、こちらを見ていた
一瞬の事で色覚が追いつかず、男のコートや服装、髪色までは分からなかったが、そこに、立っていたのだ
私の真後ろに、知らない男が
キイッ────────
『誰なの…?』
慌てて後ろを振り向くが、そこにもう男の姿は無かった
ただ一つ、いかにもこちらへ来てくれと言わんばかりに廊下へ続く扉が音を立てて開かれていた
『中也…?』
もしかしたら、中也かもしれない
確かに中也より背は高かったような気がしたけれど、見えたのはほんの一瞬、しかも色覚さえ機能しないとなれば私の記憶もあてにならない
中也が、わたしを驚かせる為に仕組んでいるのかもしれない
『中也?帰ってきてるの?』
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茉耶 - 最近あひゃこさんの夢小説ばっかり見ていつも泣いてます!毎回いい作品をありがとうございます!!また太宰さんの小説書いて欲しいです! (2019年8月11日 16時) (レス) id: 2037e6e45f (このIDを非表示/違反報告)
−こま−(プロフ) - 太宰さんんんんん!!かっこいいーー!!!好きですううう!作者さんも、太宰さんも愛してます← (2018年11月22日 20時) (レス) id: 43a4a6fc1b (このIDを非表示/違反報告)
長月冬麻(プロフ) - すっっっごい面白かったです!ヤンデレ文豪さん、ほわぁ…真逆中也さんがあんなことをしていたなんて、さいっっっこうのドンデン返しでしたっ!私あんまり死落ちのヤンデレさん好きではないんですけど、すっっっごい面白くて、好き以外に選択肢がなかったです。 (2018年7月28日 19時) (レス) id: 0ab6a974b3 (このIDを非表示/違反報告)
あひゃこ(プロフ) - かしさん» コメントありがとうございます! いつも死ぬ時は大体途切らせちゃってるのでわかりずらいんですよね(><)すみませんm(_ _)m 閲覧ありがとうございます! (2018年6月19日 21時) (レス) id: 782bc5610f (このIDを非表示/違反報告)
かし(プロフ) - 物凄く面白かったです!最後に夢主の回想が途切れた時はえ?あれ?タブレット壊れた?と思いましたが、そう言うことだったんですね! (2018年6月19日 17時) (レス) id: 5b825520a3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:私です x他1人 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/my.php
作成日時:2018年3月27日 11時