幸せですかと尋ねられたら [冨岡義勇] (ページ34)

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33 その後① ページ34

『義勇さん！！いつまで支度してるんですか！！』

玄関で痺れをきらしているA

それもそのはず

冨｢待て、やはり髪型が少々おかしい気がする｣

『大丈夫ですよ』

冨｢やはりこっちの帯の方が…｣

『大丈夫ですって！！』

さっきからこんな会話をずっと続けているのだから

今日は東雲家に挨拶に行く日

正式に結婚することを伝えるのだ

冨岡の心中は全く穏やかではない

東雲屋敷前

冨岡はその屋敷の大きさに圧倒されていた

分かってはいたものの自分との格の差を思い知らされる

冨｢…やはり別の日にしよう｣

『はぁ！？ここまで来て何言ってるんですか』

冨｢しかし…｣

『はぁ…嬉しかったのになぁ…義勇さんがお父様に挨拶しにいこうって提案してくれた時…あぁあ…あの時の義勇さんかっこよかったなぁ…』

冨｢何してるんだ、早く行くぞ｣

Aの冨岡の扱いは既に完璧である

『梅！！久しぶり！！』

出迎えてくれた梅に抱きつくA

冨｢挨拶が遅れてしまい申し訳ありません。

お初にお目にかかります。冨岡義勇と申します。｣

梅｢あらあら～噂通り美青年ね～

旦那様はお部屋でお待ちしていますよ｣

義父の部屋に入る前に冨岡は深呼吸を1つ

1度会ったことがあるものの、前回と今回では訳が違う

『大丈夫ですよ、そんなに緊張しなくても』

冨｢…鬼を倒す時より怖い｣

『ふふふ』

意を決して扉を開けた

父｢A！！久しぶりだなぁ！！｣

『お父様！！苦しい！！』

厳しい父親とはいえ、久しぶりの愛娘

抱きつきたくもなる

冨｢(落ち着け、落ち着け、落ち着け…

そうだ、男らしくだ、男らしく

錆兎がいつも言っていたように)｣

手に汗が滲む

父｢ところで一体どうしたんだ？わざわざ家に来るなんて｣

冨｢改めて、Aさんとの結婚の了承を頂きたくて参りました。

未熟者ではありますが、必ずAさんを大切にします。幸せにします。

お嬢様を俺にください｣

『(ふふっ…義勇さんが饒舌…

きっとたくさん考えたのね)』

Aが考えるとおり、冨岡が三日三晩考えて捻り出した最大限の言葉なのだ

冨岡は頭を深々と下げ、義父の言葉を待った