【短編集】Forme d'amour【QK】

呪いを解いたクイズ記事/izw ページ20

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「1人で生きられそう」





これは私にとって呪いのような言葉である。





私は基本、1人でなんでもこなしてしまう。





1人では何も出来ない兄がいたからだろうか。





事実、その兄も頭が良かったのだが。





兄のお陰で大抵のことを自分で出来るようになった。





A型だからなんでも完璧にしたい性格だった。





勉強。運動。成績。





とにかく、なんでも私が1番じゃないと嫌だった。





完璧主義とサッパリしすぎた性格のせいで、私はどこにいても浮き続けた。





「まさに天才だよね」





「なんでも出来て羨ましい」





私にとっては皮肉にしか聞こえない言葉を何度聞いただろう。





私は天才じゃない。





天才なのは兄の方だ。





私は秀才なんだ。秀才になったんだ。





なんでも出来るようにするしかなかったんだ。





貴方達に何が分かる。





こんな感じで、学生時代は最悪だった。





大学に入っても、それは続いた。





「高嶺の花だよね、なんでも出来るし」





「頼りにしてる」





なんだよ、高嶺の花って。





あぁもう、いい加減ほっといてくれよ。





そんなある日のことだった。





「ねぇ」





『………誰』





「滝口Aさん、だよね？」





『だから誰って聞いてるんだけど。人に名前を聞く前に自分が名乗るのが先じゃない？』





「うわ、マジで噂通り。伊沢拓司です、よろしく」





あぁ、この人も噂を聞いたんだ。





『高校生クイズ個人の部2連覇したっていう？』





「そう！知ってるんだ、」




『アンタも噂になってるからね』





伊沢拓司。





開成高校出身で、高校生クイズ個人の部初2連覇の男。





クイズが好きで、知識王と呼ばれているとか。





「お願いがあるんだけど」





『嫌』





どうせろくなことじゃない。





面倒事には最初から首を突っ込まないでおくのが得策だ。





「頼む！手伝ってくれ！」





首が飛んでいきそうな勢いで頭を下げる伊沢。





私が頼まれたら断れない性分なのを知った上で言っているのか。





『………内容による』





「マジ！？あざっす！！」





『いいなんて一言も言ってないんだけど』





「この人のクイズに関する論文を探してて……」





目をキラキラさせながら話す伊沢。





私は呆れながらも伊沢の頼み事に付き合うことにしてしまった。


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