【短編集】Forme d'amour【QK】

ページ ページ14

.


こうちゃんが私の椅子を回転させて、こうちゃんと目が合う。





「ねぇA、ごめんね」





『……………』





「俺Aのだって知らなくてさ。しかもあのプリン結構いい所のやつでしょ？」





『………伊沢さんに貰ったの』





「………今度、2人でプリン作ろ？1から」





こうちゃんが私の前でしゃがんだ。





「あのプリンには敵わないかもだけどさ、2人で作ったら絶対美味しくなるよ。Aお菓子作り好きでしょ」





『…………好き』





「だから2人の愛を込めて世界で1つだけのプリン作ろうよ」





『………………』





「ね？」





『………でもこうちゃん砂糖と塩間違えたことあるじゃん』





「雰囲気ぶち壊すのやめよ？」





ふは、とこうちゃんが笑う声が聞こえた。





「だってあれはさ………」





途切れ途切れになりながらも言い訳をするこうちゃん。





なんだかおかしくて、笑ってしまった。





「ねぇ酷くない？？」





『ごめんごめん、なんか………なんであんなことで喧嘩してたんだろって』





「いいじゃん、俺らっぽくて」





こうちゃんは怒ることなく、いつものように笑った。





あぁ、私はこうちゃんのこういう所が好きなんだっけ。





『ねぇ、こうちゃん』





「ん？なぁに」





『ごめんね』





「いいよ。それより俺はね、」









.








＿＿＿＿俺の隣でAが幸せならそれで十分だから。









.








「帰ろっか」





こうちゃんの綺麗で男らしい手が私の手を包み込む。





そのまま手を繋いで歩き出した。





きっと今の私は真っ赤なんだろう。





だってあんなにかっこいいこうちゃん、見たことない。





こうちゃんの表情が楽しそうだもの。





………まぁ、楽しいならいっか。






.

次ページ→←前ページ

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す