エスケイピストのわがまま/2 side A ページ13
◇
「あんず〜、これとかどう?あんず似合いそうだけど」
「えっ、ほんと〜??………試着しよっかな…」
「してきなよ、待ってる」
ひらりと手を振って笑うA。その仕草一つだけでもきゅんと胸が鳴る。
「っ…うん! なるはやにしてくる!」
「いいよ、急がなくて。時間あるんだから!」
シャッとフィッティングルームのカーテンを閉めて、ため息をつく。
───たぶん、Aは、衣更くんが好き。
見てればわかる。親友だから。
初めてAを見て、あの日助けられて、運命だって舞い上がってても。
これは、一方通行の恋。
それは、わかりきってたこと。
『コイツが私が言ってた、幼馴染の衣更真緒って奴』
『初めまして!転校生の───秋陽あんず…だよな?
いつもAから話聞いてる! 衣更真緒って言うんだ、よろしくなっ!』
衣更くんに初めて会った日、衣更くんはAが好きなんだって、一目でわかった。
なんてったって、Aを見る目がひどくやさしかったから。
勝ち目ないやって、そう思っちゃって。
それでも、Aが好きで。
きっと衣更くんも、告白したくてもできないんだと思う。私も同じだ。
今のこの、心地いい、丁度いい関係を崩したくないから。
私なんて、特にそうだ。
私はAに恋をしている。
言うと同性愛者───女性同性愛者だ。
引かれちゃうかもしれない。この事を知ったら───今の関係が崩れてしまいそう。
信頼関係を築くことは、難しいし長い時間が必要。
それを崩すのは容易くて、一瞬のこと。
「どう〜? 似合ってる?」
「めっちゃ似合ってる。割り勘で買う?」
「う〜ん、そうしよっかな………」
好きになるって、片想いって、本当に辛いんだよ。
◇
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まいとりー。(プロフ) - 夏目かこさん» 夏目かこさん、コメントありがとうございます。そうです、大正解です!! (2022年9月14日 7時) (レス) id: a716690bac (このIDを非表示/違反報告)
夏目かこ - ハニワですね、告白予行練習 (2022年9月13日 23時) (レス) @page3 id: 26710bd71c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まいとりー。 | 作成日時:2021年11月20日 23時