Ballad of the Phantom 2nd

68、健水視点 ページ18

麗が倒れてから
トルヴィアノはどうなるんやろうと
思ってたけど何の心配も無かった。

麗に何かあっても良いように
それぞれに役割分担をしていた。

おかげで国民は安定した生活を送れてる。

ここまでするために犠牲になった命…

麗は誰かがいるときは明るく振る舞ってるけど
そうじゃないときは…



麗｢…｣

心に負った傷は深すぎた。

医者の話では
麗のせいで起きたことではないらしいけど
その言葉が麗にとって
どれだけの救いになってるかは、わからへん。

まだ、どこかで自分を責めてるようにも見える。

なるべく明るく接するようにはしてるけど
無理をさせてるようで心が痛む。

元気なときは口喧嘩とかできるけど
それも、前ほど長くは続かへん。

どうやったら元気になるんやろう…


麗｢ねぇ、健水…｣

健水｢なんや？｣

麗｢明日、外に出ても良い…？｣

健水｢その体調で大丈夫なん？｣

麗｢行きたいところがあるの…連れてって？｣

健水｢どこなん？｣

麗｢トルヴィアノの泉…｣

トルヴィアノの泉は
トルヴィアノの都心から離れた森の中にある。

遭難者が出るほどの大きな森。

健水｢そんな遠くは無いけど危ないんちゃう？
毎年、遭難者出てるやん｣

麗｢大丈夫…道は、わかるから…｣

大丈夫って言われても、麗が大丈夫なんか？

その体調で森の中に入るって…

麗｢お願い…｣

健水｢…わかった｣

麗｢ありがとう、健水…｣

俺の返事を聞いて
麗は、そのまま目を閉じた。

明日に向けて体力を温存してるんかな。

でも、なんで泉に行きたいんやろ？

なんかあるんかな？

69、健水視点→←67、大弥視点

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す