君に触れたい (ページ15)

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15、健水視点ページ15

紫織｢今度わからない韓国語があれば
真咲さんに聞いても良いですか？｣

真咲｢もちろん｣

それからヴィオレッタさんの話をいろいろ聞いた。

彼女の母親とヴィオレッタさんは親友で
とても仲が良かったこと。

ヴィオレッタさんは旦那さんを亡くして
行く宛てが無くなり、鴻池家に雇われたこと。

彼女がどこでも生きていけるように
日本語、フランス語、英語、韓国語で
ヴィオレッタさんが手紙を書くようになったこと。

紫織｢身体が弱くてもできることがある。と
教えてくれたのはヴィオレッタです。
ヴィオレッタのおかげで、たくさんの言葉を覚え、
勉強も教えてくれたから今があります｣

エミ｢ヴィオレッタさんは、すごい人なんですね｣

紫織｢えぇ。とっても素晴らしい方です｣

嬉しそうな笑顔から、
少し悲しそうな笑顔に変わった。

それは遠い人を想う顔。

ヴィオレッタさんに会いたいんやろうな…

紫織｢ずっと気になっていたのですが、
私のことを紫織と呼んで良いのですよ？
カナエさんや怜さんたちみたいに。
それに敬語も使わなくて良いですよ？
私の方が年下ですから｣

エミ｢でも一応、雇い主のお孫さんですし…｣

紫織｢良いんですよ。友達ぐらいの距離感で。
当主も許してくださると思います｣

真咲｢そう言うなら…｣

バイトするようになって一週間と少し。

やっと紫織と呼ぶようになって
友達みたいに普通に話せるようになった。

でも紫織は、ずっと敬語。

丁寧な言葉使いの方が使い慣れてるらしい。