これは夢だと思いたい ページ2
───草の匂いだ。
水底から浮かぶように覚醒して、まず気づいたのはそれだった。草の匂い。寝転がっている背中に感じる感触も、チクチクする。
……いや、可笑しくないか？
私は昨日、確かにベッドで寝たはず。1Kの部屋の角に置いた、値段に制限がありながらもこだわりにこだわり抜いたお気に入りのベッド。
だというのに、どうして私は外にいるのか。夢？もしかしてこれ、リアルすぎる夢か？
微睡んでいた意識が急速にはっきりとして、目を開ける。
……微かな希望は潰えて、目の前に広がっている景色は緑だった。白い天井ではなく、草というか森の緑。いや、どういうことだ。明晰夢というやつなのか？
寝起き特有の気怠さを訴えてくる身体を無視して、立ち上がる。踏みしめる草の感触も、手をついた時の若干の痛みも、全て現実のものに思える。
……というか、なんで私は制服を着ている？寝間着を着ていたはずなのだけど。え、まさか着替えさせられた？目が覚めないなんて、ずいぶん強い薬だなこの野郎。私は繊細な部類なんだぞ。
「……うわあ、マジの森じゃないですか。えっこれもしかして遭難とかそういう感じですかね？」
そうだとしたらかなりやばい。
自慢じゃないが、私はサバイバル経験なんて微塵もないし、体育は苦手だ。
瞬間的な足の速さ、50m走とかはまあ得意？いや得意って言っていいのかわからないが、とりあえずまだマシな方だが、持久走とか球技は絶望的である。
これ、死亡フラグってやつじゃないか。
「……いや、いやいや。一旦落ち着け私。とりあえず思い出そう。昨日は確か───」
昨日の夜、というか明け方、次の日が創立記念日で休みなのを良いことに、私はゲーム実況をしていた。ナカノヒトゲノムという、やり込み要素があるやつだ。
ここ最近はずっとこのゲームをしていて、昨日やっとクリアした。そして実況を終えて寝ようとしたら、パソコンに、クローズドステージのプレイ権を与えるとかいう内容のメールが───
『お迎えに上がります』
唐突に、思い出した。そのメールの一文だ。その最後に確か、そう書いてあった。
……ちょっと待て、ということはだ。この状況は。
「お迎えに上がられた結果がこれってことですか……」
とりあえず、運営というか首謀者は許さない。
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kima(プロフ) - 海獣さん» コメントありがとうございます。続編はある程度書いてから投稿する予定なので、少し待たせてしまうことになると思いますが、読んでいただけると嬉しいです。 (2022年10月22日 13時) (
レス) id: 6fedac0470 (このIDを非表示/違反報告)
海獣(プロフ) - マジで最高でした！！続き楽しみに待ってます！！ (2022年10月21日 23時) (レス) @page42 id: b62edcffd1 (このIDを非表示/違反報告)
kima(プロフ) - なーさんさん» コメントありがとうございます。とても励みになります。更新ペースがすごく遅いですが、投稿をやめる予定はないので、気長に待っていただけると嬉しいです。 (2022年8月22日 1時) (レス) id: 6fedac0470 (このIDを非表示/違反報告)
なーさん(プロフ) - 個人的にめちゃくちゃ好みです！！更新頑張ってください！ (2022年8月21日 15時) (レス) id: 64a4afe500 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：kima | 作成日時：2022年5月23日 9時
