ムラサキ__《N.Ren》 (ページ26)

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ムラサキ__26 ページ26

俺はハッとして、慌てて唇を離した。

Aはスヤスヤと寝ている。
ば、バレてないよな………？

こんなに気持ちが先走ってしまうなんて、
自分が自分じゃないみたいで。

好きだと自覚してから、
好きだと口にしてから、
神宮寺に負けたくないと思った時から、

俺の恋心は、物凄いスピードで加速している。

一旦落ち着け、俺……。
自分の行動に少し冷静になった俺は、
眠るAのもとを離れて自分の教室に向かおうとした。

その時だった。

「……ん、んん……？あれ、私寝ちゃって……え、永瀬……くん？」

「……お、おはよA」

Aが目を覚ました。

突然のことにキョドってしまう俺。
勝手にキスをしたことが頭によぎった。

「え、なんで永瀬くんいるの……？びっくりしたあ…」

俺を見て目をぱちくりさせるA。

「いや、まぁ、俺も屋上で寝ててん。教室戻ろうとしたらスヤスヤ寝てる誰かさんを見かけたから、な」

「えっ、ずっと居たの！？待って、寝顔見られたってこと…？？忘れて！！」

「やーだね、気持ちよさそうやったで」

「うっ、最悪だ〜〜……。」

顔を覆うA。
俺的にはいいものが見れて大満足やったんやけどな。

「てか、最近元気やった？」

いつものように始まる、他愛もない会話。

「え、うん！元気だよ！」

久しぶりなのに、すごく落ち着く。

「そか、なら良かった。連絡来おへんくなって、ちょっと心配やったっていうか、」

俺は気になっていた連絡について少し触れた。

それを聞いてAは、

「あーー……、そのことなんだけど、、」

目をキョロキョロさせながら、

「実はね、勇太が正式に謝ってくれて」

「元通りになったっていうか、すごく大切にしてもらってるっていうか……もう、大丈夫かも」

俺に現実を、突きつけた。