24話 ページ25
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冷や汗が流れる。背筋が冷える。
何を言うのが正解なのか、なにを言うことが、坂田さんの望みなのか。
考えなくちゃいけないのに、考えることが多すぎて言葉が出てこなかった。
「どうしたの？」
坂田さんは、尋ねるというより独り言のように呟いた。
「いや、なんでも」
たったこれだけの、6文字を発することすら、今の私には精一杯だった。でも、なんとか切り替えないと、と思って私はフォークとナイフを手に取る。
ほら、美味しそう。
でしょ？
「嬉しくないの」
ぽつり、と。
囁かれたその言葉に、私は反応する。
それはまるで、今までずっと黙秘していた容疑者が、いきなり真実を話し出したみたいな静けさがあった。そして、私は警察官、動揺しないはずない。
「嫌いだったんでしょ？上司」
「……嫌い、でした…」
「いなくなって、嬉しくないの？今、悲しそうな顔してるで、Aちゃん」
私は今、そんな顔をしてるのか。
表情を隠そうと顔を歪めるけど、より一層動揺しているように見えるだろう。
坂田さんの言葉は、間違ってない。
私はあの人が嫌いだった。
正直、憎かったし、あいつが会社を辞めればいいのにとか、そういうことばかり思ってた。
けど、本当に「いなくなった」なら、私は酷く後悔する。その責任を負われることを怖いと思うよ。
「うれしい、というか、なんか…」
けど、考えていること全てを言葉にできるはずもなくて、私の思考は喉のところで空に散る。
「Aちゃんは、なんで…」
坂田さんはまた、呟く。
けど、その言葉の続きは、私のものと同様にしてどこかに消えた。そして、その続きを聞くことは、多分私にはできないだろう。
「なんでもない」
ほら。
そう言われて、視線を落とされてしまえば、私にそれを問い詰める事なんてできるわけない。
たとえ私が、そのことをいくら知りたくても。
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けんまおし1016(プロフ) - とてもおもしろいです！少し文章の間を広くしてくれれば読みやすいと思います！ (2022年8月17日 19時) (
レス) @page3 id: 92260459e9 (このIDを非表示/違反報告)
あーちゃ(プロフ) - コメント失礼致します！！読んでて凄くきゅんきゅんしました、！！！素敵な作品を本当にありがとうございます😭💕💕 (2022年8月14日 5時) (レス) @page21 id: c45d7c6a24 (このIDを非表示/違反報告)
ノンレム睡眠 - 前々から気になってた作品で読んでみるとど好みストレートでびっくりしました🙃 これからも愛読させていただきます！神作ありがとうございます🙌❤ (2022年8月12日 18時) (レス) @page21 id: 28b1a8c3b0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Ir | 作者ホームページ：http://manaaa
作成日時：2022年7月16日 22時
