23話 ページ24
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「そうだ、話すことがあるんだった」
いよいよメインディッシュ、というところで、坂田さんは唐突に口を開いた。
もうお腹いっぱい、そんな気持ちで少し胃もたれがする中、また胃もたれしそうな話の切り口にうっ、とする。
「そうですね。どんな話ですか？」
座り直して目線を合わせる。
いや、合わせられないんだけれど、そういう素振りをするのが大事なのだ。
「Aちゃんの働いてた会社に、ちょっと行ってきた」
「…………え？」
は？
「元々、うちの会社と契約しててな。広告代理店やろ？ちょっと話してきたんや」
「え、や、なん…で」
私の会社に、坂田さんが行った？
なんで、何のために？
…そうか、契約先なんだから、仕事の話に決まってる。たまたま、そう、偶然にして、日にちが被っただけだ。
「色々、職務状況が良くなくてねえ。Aちゃんも、酷いことされたんやろ？」
そんなの関係ないじゃないか。
いや、そもそも、なんでそんな話を私にするの？
職場だから？
辞職届でも出しに行ったの？
「いや、酷いこと、っていうか…ちょっと仕事は多かったかな、とか…」
「体触られたりとか、無理な労働を強制されたりとか？」
丸く収めようと言葉を選んだのにも関わらず、ダイレクトな言葉でいきなり捲し立てた坂田さんに、びくりと肩が跳ねる。
図星ではあるけど、そんなの新入社員ならみんな一度は経験するものじゃないのか？犯罪、と言われれば、否定できるか微妙なラインではあるが、それで精神を病んで、とか。
そういうんじゃないから。
「いやだったやろ？」
黙っている私に、坂田さんは怖いくらいの猫なで声で言う。
「いや、でした、けど…」
「もう君に、酷いことをするやつはいないから」
その言い回しが、妙に引っかかる。違和感を覚える。
「…いない？」
「うん、いないよ」
いない。
もう私はあの会社を辞めるから、ってこと？
それとも、私の前には現れないってこと？
二度と？
「あー、大丈夫。全然、暴力とかしてないで」
また私が黙っている内に、メインの肉料理が運ばれてきた。柔らかそうな肉には、ワインレッドのソースがかけてあったが、一向にそれは食欲をそそらない。
私のせい？
私が、セクハラされたとか、無責任に言ったから？
クソみたいな上司はずっと好きになれないけど、私のせいで、あの人が職を追われるようなことになっていたら？
私は何か、とんでもないことをしてしまったんじゃないか？
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けんまおし1016(プロフ) - とてもおもしろいです！少し文章の間を広くしてくれれば読みやすいと思います！ (2022年8月17日 19時) (
レス) @page3 id: 92260459e9 (このIDを非表示/違反報告)
あーちゃ(プロフ) - コメント失礼致します！！読んでて凄くきゅんきゅんしました、！！！素敵な作品を本当にありがとうございます😭💕💕 (2022年8月14日 5時) (レス) @page21 id: c45d7c6a24 (このIDを非表示/違反報告)
ノンレム睡眠 - 前々から気になってた作品で読んでみるとど好みストレートでびっくりしました🙃 これからも愛読させていただきます！神作ありがとうございます🙌❤ (2022年8月12日 18時) (レス) @page21 id: 28b1a8c3b0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Ir | 作者ホームページ：http://manaaa
作成日時：2022年7月16日 22時
