20話 ページ21
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俺がAちゃんの名前を出すと、相手は少し慌てたような素振りを見せる。Aちゃんの言い振りから、きっとパワハラやらセクハラやらをされていた社員は多数いるのだろう。一人一人の名前など覚えていなくてもおかしくはない。
俺だって、潰したファミリーの名前など殆ど覚えていない。
「事実でしょうか？」
そんなことはどうでもいいが。
Aちゃんの証言がある時点で、情なんてものは一欠片も湧かない。
「まぁ、少し、残業を強いてしまったことはあるかも知れません、ですが！違反するような行為はしていません。同意の上で、です」
少し言い訳はあったものの、事実を認めた。あくまで同意の上、と。
「そうですか…。では、あなたの会社ではセクハラも同意の上で行われているのですね」
軽蔑を込めた目で見つめると、相手の態度は大きく変わった。なんとか丸く収まりそうだったのだ。自分たちの悪事を隠し通せる、その一歩手前だったのだ。
油断し、緩んでいた顔は一瞬で強ばった。
「何を仰るんです？そんなことは一切していません！その川崎という女の言うことは事実無根です！」
早口で捲し立てられ、耳がキンキンと痛む。なんだかイライラしてきた。なぜ、こんな人間に時間を割いているのだろう。こんなことをしている暇があったら、一刻も早くあのホテルに帰って、Aちゃんの顔を見たい。
まだあの子は俺に気を許していないみたいだから。もっと時間が必要なのに。
それなのに。
もういいや。
「もう結構です。私は、あなたのことを信用できませんから」
「それは、どういうことでしょう」
「もういいです。あなたの会社との契約は取り消させていただきます。こんな悪事を働いていた会社と契約していては、うちの会社の評判も下がりかねない」
男は、予想していた最悪の事態が起こったような顔をした。いや、想定よりもずっと悪い状況かも知れない。
「なぜですか！私の会社はあなた方に対して＿＿」
「だから、もういいと言っている」
もう面倒だ。
うるさいし、邪魔。
「この件は然るべき場所に報告させていただきますので」
最後ににっこりと微笑んで、俺は薄汚い応接間を去った。
あとは、この系列の会社にも一通り情報を流しておけば終わりだろう。
さあ、帰ろう。
一体Aちゃんは、このことを話したらどんな顔をしてくれるだろうか。
最高の笑顔を見せる彼女の可愛い顔を想像しながら、俺は上機嫌で車に乗り込んだ。
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けんまおし1016(プロフ) - とてもおもしろいです！少し文章の間を広くしてくれれば読みやすいと思います！ (2022年8月17日 19時) (
レス) @page3 id: 92260459e9 (このIDを非表示/違反報告)
あーちゃ(プロフ) - コメント失礼致します！！読んでて凄くきゅんきゅんしました、！！！素敵な作品を本当にありがとうございます😭💕💕 (2022年8月14日 5時) (レス) @page21 id: c45d7c6a24 (このIDを非表示/違反報告)
ノンレム睡眠 - 前々から気になってた作品で読んでみるとど好みストレートでびっくりしました🙃 これからも愛読させていただきます！神作ありがとうございます🙌❤ (2022年8月12日 18時) (レス) @page21 id: 28b1a8c3b0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Ir | 作者ホームページ：http://manaaa
作成日時：2022年7月16日 22時
