・ ページ2
・
じゃあってなに。
そんな、諦めみたいな、妥協みたいな言い方しないでよ。
って心の中では文句を言っているのに、近づく彼の影には逆らえなかった。
「ちゃんと、君が好きだよ。」
そう言われてしまったら、もう私はどうしようもなかった。
近づく唇にも、触れる手にも逆らえず、私たちはついに体を重ねた。
朝っぱらから。
・
「じゃあ、帰るね。」
全てを終えて、シャワーも借りて。
ドアノブに手をかけると、腕を優しく掴まれた。
「バイバイのチューは？」
ああ、これがきっと俗に言う"都合のいい関係"の始まりなんだろう。
そんな関係にはなりたくない、なんて思ったのに。
私は欲に逆らえず、彼の唇に自分の唇を重ねた。
・
それからというものの、一緒にいたはずの6人の中で、私たち以外のペアが関係を拗らせてしまったりして。
それをきっかけに、私たちが集まることは自然と減った。
そんな中でも、私たちの関係はズルズルと続いていた。
予想的中。"都合のいい関係"として。
「ねえ、知ってる？」
「なにが？」
「あいつ、あの子と付き合ったらしいよ。」
友人が指す先は、大学内でもチヤホヤされている女の子。
私に優しく触れていてくれたあの時には、あの子との恋路を着実と進めていたんだな。
そう思うと、悲しいとかよりも怒りが込み上げてきていた。
怒る権利なんて、どこにもないのに。
・
それ以来、私は彼から届く連絡を無視していた。
『今日暇？』
『ねえ、無視しないでよ。』
とか、全部無視した。
彼女いるんだろ、私に構うなよって意味も込めて。
そんな子どもみたいな反抗をしている間に、さすが大学生。
来る者拒まず体制でいたら、簡単に恋人ができた。
「ねえ、ほかの女の子のことも好きとか言わないよね？」
「言うわけないじゃん笑 俺にはお前だけだよ。」
そうやって、今の恋人は"私だけ"って言ってくれる。
彼みたいに、"も"って一文字を使わない。
でも、覚えているのは
『ちゃんと、君が好きだよ。』
もういい加減忘れなきゃ。
また、彼の優しい手に触れられることは無いのだから。
そう言い聞かせていても……ごめんなさい。
私やっぱり。
今の恋人のこと"も"好きだけど、君のこと"も"好きみたい。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1330人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゆ - 続編おねがいします。 (2023年1月4日 15時) (
レス) @page20 id: cf41c30705 (このIDを非表示/違反報告)
梅原裕(プロフ) - うわぁー！好きすぎる！更新ありがとうございます😢頑張ってください!! (2022年11月13日 10時) (レス) @page16 id: 0d3bb14795 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ねこ。 | 作成日時：2022年9月26日 19時
