心の声【her view】1 ページ28
「何なの……?」
まるで一緒に居るのが嫌だと言わんばかりに、甘味屋のベンチにお金を置いて去って行ってしまったカカシに文句を言おうにもその姿はもうそこには無い。
「おや、Aちゃん。デートはお終いかい?」
一人取り残された私がお汁粉を平らげたのを見計らったように出て来たのは甘味屋の店主のおばあさんだった。
「デートなんかじゃないよ。大体おばぁちゃんは私達がそんなんじゃないって知ってるでしょ?昔からここ来てるんだから。」
いつも任務や演習の帰りに、リンやオビトとも何度も一緒に来たことのあるこの甘味屋
おばあさんはその頃から私達をずっと見てきている。
だから私達に対して、デートだなんて言葉がおばあさんから飛び出たのは結構意外だった。
差し出されたお盆の上に、空になった容器を乗せ、カカシが飲んで行った湯呑も一緒に乗せた。
そんな動作をしながらも「私達がデートは有り得ないよ」と再度笑っておばあさんに言えば、おばあさんは首を傾げて見せた。
「そぉかい?……少なくとも彼の方はそんな感じに見えたんだがねぇ。Aちゃん、駄目だよ?良い男は捕まえておかないと。」
「良い男って……カカシのこと?」
「他に誰が居るって言うんだい。」
「いや……良いのは顔面だけだよ?おばあちゃん知ってる?あいつ最低なの!綺麗なお姉さん達に手出しまくってたんだからね?」
「ほぉら、モテるんじゃないか。」
「だから、顔面良いからでしょ?とっかえひっかえしちゃって。」
「まぁ本命はAちゃんだから、そうなっちゃうんだろぉねぇ。」
「……ねぇおばあちゃん……だから、私とカカシはそんなんじゃないんだってば。」
「Aちゃん、ちゃんと彼を捕まえておきなね。」
駄目だ……全然こっちの話聞いてない。
にっこり笑って店の奥に向かっていくおばあさんに溜息を付いてから青い空を見上げた。
それにしても、カカシはやっぱり変な人だと再度思考を巡らせる
ずっと私の事を見掛けるたびに”嫌いだ”なんて怪訝な顔で言ってた癖に
案外あっさりもう言わないと約束してくれた。
仲間として大事に想っていると言う事がちゃんと伝わったのかな?
と思いながらも、それならばどうして足早にこの場を去って行ってしまったのかとも思う。
たまにはゆっくり昔話もしたかったし
なんならリンとオビトのお墓にも行きたかった
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テン(プロフ) - かなさん» かなさんコメントありがとうございます(*^^*)そう言って頂けてとても嬉しいです!亀更新で申し訳ないですが、これからも楽しんで貰えれば幸いです♪ (2022年4月29日 2時) (レス) id: c0a1965786 (このIDを非表示/違反報告)
かな(プロフ) - とても面白いです!応援しています(^^*) (2022年4月16日 5時) (レス) id: a32747b1ee (このIDを非表示/違反報告)
テン(プロフ) - sayyさん» sayyさんコメントありがとうございます。亀更新で申し訳ありません^^;とても励みになりました!続きは気長にお待ち頂ければありがたいです(*^^*) (2021年9月27日 21時) (レス) id: 7837fbad55 (このIDを非表示/違反報告)
sayy - カカシが可愛い!応援してます!頑張ってください! (2021年9月23日 21時) (レス) @page37 id: 694cb4f9d7 (このIDを非表示/違反報告)
テン(プロフ) - キーさんさん» キーさんコメントありがとうございます。確かに最近ナルト作品少ないですよね(^^;ナルト君達も出していけるように頑張りますね♪応援ありがとうございます(*^^*)とっても嬉しいです。 (2021年2月14日 12時) (レス) id: 3d6ac160d7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:テン | 作成日時:2021年2月6日 22時