誰が為の【his view】6 ページ27
逃げる様にAの横に金を置いてその場から姿を消した。
焦った様に呼び止めるAの声も聞こえないフリをした。
そうでもしないと
折角長年かけて蓋をしてきた想いが溢れてしまいそうで……
「って……なんだ……これじゃ……アスマの言う通りじゃないの。」
独り言ちでからふと足を止めてアスマに言われた言葉を思い出す
『カカシ、お前……Aの事好きだろ。』
「あーあ……なんで今更……自覚なんて……したくなかったよ。」
路地裏の壁にもたれ、地面に視線を落としたままで呟いたそんな声が誰かに聞かれる筈はないのに、顔に集まった熱に思わず頭を抱えてズルズルとその場に蹲った。
浮かんでくるAの屈託ない笑顔が心の奥底を締め付ける
抑えていた想いも、認めてしまえば
これ以上抑える事は難しそうで
それでもAにこの想いを伝えるつもりは更々無い
きっとAはそういう感情で俺を見る事は一生ないし、困らせるだけなのが分かるから
Aにとって俺は
”大切な仲間で守るべき存在”
ただそれだけ
「先輩、何してるんです？具合でも悪いんですか？」
「……お前こそ何してんのテンゾウ。こんな所でサボる程お前は暇な奴じゃない筈でしょ？」
突如頭上から投げ掛けられた懐かしい声に冷静さを装って気怠げに顔を持ち上げれば、暗部のトレードマークとも言える面を外したテンゾウが爽やかに笑った。
「本部に戻る所です。知った風貌の人が路地裏で踞ってるのが見えたら気になるじゃないですか。」
「そこは、知らぬ存ぜずで通すのが優しさじゃない？」
「え？なんか知られちゃ不味い事でもしてたんですか！？」
「してた。すごーくしてた。お前は俺の心を見事にへし折ったよ。テンゾウ、この怨みは忘れないからね。」
「え？えっ！？ちょっと先輩！？せんぱーい！？」
焦り顔のテンゾウにわざとらしい笑顔を向けてから背を向け、ヒラヒラ手を振り歩き出す。
慌てるテンゾウの顔が振り返らずとも手に取るように分かって笑みが溢れた。
いいタイミングで来てくれるよ本当に
先輩想いで何よりだ
お陰様でAの事からどうテンゾウをからかうかに思考がシフトできた。
「キライは嫌……ね。」
子どもの様なAのその訴えを承諾してしまったからには
もうその言葉で自分を牽制することも出来ない
「参ったね……どーも。」
見上げた空の青さに溶かしたその言葉に深い意味はなかった
心の声【her view】1→←誰が為の【his view】5
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テン(プロフ) - かなさん» かなさんコメントありがとうございます(*^^*)そう言って頂けてとても嬉しいです！亀更新で申し訳ないですが、これからも楽しんで貰えれば幸いです♪ (2022年4月29日 2時) (
レス) id: c0a1965786 (このIDを非表示/違反報告)
かな(プロフ) - とても面白いです！応援しています(^^*) (2022年4月16日 5時) (レス) id: a32747b1ee (このIDを非表示/違反報告)
テン(プロフ) - sayyさん» sayyさんコメントありがとうございます。亀更新で申し訳ありません＾＾；とても励みになりました！続きは気長にお待ち頂ければありがたいです(*^^*) (2021年9月27日 21時) (レス) id: 7837fbad55 (このIDを非表示/違反報告)
sayy - カカシが可愛い!応援してます!頑張ってください! (2021年9月23日 21時) (レス) @page37 id: 694cb4f9d7 (このIDを非表示/違反報告)
テン(プロフ) - キーさんさん» キーさんコメントありがとうございます。確かに最近ナルト作品少ないですよね(^^;ナルト君達も出していけるように頑張りますね♪応援ありがとうございます(*^^*)とっても嬉しいです。 (2021年2月14日 12時) (レス) id: 3d6ac160d7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：テン | 作成日時：2021年2月6日 22時
