すぐそばに君はいた −13−

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壱馬さんの前で泣いてしまった。


自分は本当にメンバーに迷惑しかかけてない。




うん。もう泣かない。


ネガティブにならない。


大丈夫。私は大丈夫。





ふぅーっとゆっくり息を吐いて、電話を掛けた。





出てくれなくても落ち込むな。


大丈夫。大丈夫だから。




自分に言い聞かせ、


耳元で鳴り響く発信音を数え、


あと3回で電話を切ろう。




…あと2回。




……あと1回…




「えっ！？」


健太『もしもし。』


「あ、えっ、いや……」


健太『どしたの？』


「いや…」




まさか…出てくれると思ってなくて、


頭の中が真っ白になった。




健太『A？』


「あっ！いや、すみません。
今日、MV撮影終わって帰ってきたんですけど、」


健太『うん。』


「健太さんは昨日でしたよね？順調に終わりましたか？」


健太『うん。』


「それはよかった。
私も木更津組のみんなも順調に終わりました。」


健太『おつかれ。』


「はい。健太さんもお疲れ様でした。」


健太『うん。』


「…。」


健太『…。』




健太さんの優しい声をずっと聞いていたい…。



健太さんの声を聞くと胸がギューッと痛くなる…。





「健太、さん。」


健太『ん？』


「あの、、ふふっ。
ファンタとバリとの合同リハが始まりますね。」


健太『うん。』


「楽しみですね。ハロウィンパーティー。」


健太『うん。』


「他のグループに
負けないパフォーマンスしないとですね。」


健太『ふふっ。うん。』





……って私、別にこんなことを話したくて


健太さんに電話したわけじゃない。




ちゃんと言わないと……。

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