信じてもいいですか？ [１]

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樹「あと15分くらいで着くから。」


『はい。』



断ることも出来るのに…なぜか断れなかった。




20分くらい経って、インターフォンが鳴った。


オートロックを解除して少しして、

部屋のインターフォンが鳴った。



ガチャっと開けると、

そこには当たり前だけど樹くんが居た。



「…どうぞ。」


樹「お邪魔します。」


「…。」



樹くんが部屋に上がって、改めて思う。



何で断らなかったんだろう…。



樹「今日は夜勤じゃなかったんだね。」


「日勤だった。」


樹「日勤は何時から何時までなの？」


「定時は8時30分から17時まで。」


樹「お疲れ様。」


「ありがと。」




樹くんも仕事だったんだろうけど、

聞いたら迷惑かもしれないと思って聞けなかった。


何してたとか聞いても分からなさそうだし。



「…炊き込みご飯なんだけどいい？」


樹「うん。」



何で樹くんにご飯を作ってるのだろう？



色々と疑問に思うことが多すぎて処理できない。



樹「いただきます。」


「いただきます。」



きちんと手を合わせて、

いただきますと言う樹くんは育ちがいいんだろうな。



樹「ん。美味しい。」


「…ありがと。」



お世辞なのは分かってる。


でも、作ったものを美味しいと言ってくれるのは

やっぱり嬉しいものだ。




「あっ、今度Mステ出るよね？」


樹「おっ。うん。」


「…頑張って……でいいの、かな？」


樹「ん？うん。ありがと。」


「…。」



なんて声をかけたらいいのか分からなくて、

頑張ってって言ったけど…違う気がするなぁ…。


なのにありがとって微笑んだ樹くん。



優しい笑顔に騙されるな。


この人は遊び人だ。



じゃないとこの家に来ない。


そうだ。騙されるな。




樹「見てくれる？」


「…間に合えば。その日日勤だから。」


樹「そっか。」


「でも、16人もいるんでしょ？
多分見分けつかないと思う。」


樹「ひどっ。笑」


「だって…。」



16人は多いよ…。


先輩に色々教えてもらったけど、

全然覚えられなかったし。


ボーカルが3人いるのは分かったけど。



樹「今日もリハ頑張って来たんだから、
ちゃんと見つけてね。」


「今日？Mステのためのリハ？」


樹「うん。明日もリハ。」


「大変だね。」


樹「だから見つけてね。」


「…うんとは言えない。自信ないもん。」


樹「ふふっ。笑」

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