路地裏の闇 ページ4
「はぁ、すっかり暗くなっちゃった」
急いで帰ろうと思っていたが、夕食のお使いでスーパーに寄っていたら遅くなってしまった。この辺りは周りも明るくて安全だけれど、家の前までが少し暗くて怖いのだ。なるべく早足でスタスタと歩く。
しかし歩いている途中、ふととある路地の前で歩みを止めてしまった。路地の入り口に、落ちていたのだ。
「これって…」
落ちていたのはうちの高校のスクールバックだった。しかし周りに持ち主らしき人はいない。チャックは開きっぱなし出し、中のノートが少しはみ出していた。けれどこれを忘れて帰るなんてことあるだろうか。サイドポケットにはスマホも入ったままだし。…となると、バックの持ち主はこの路地の中に?ゴクリと生唾を飲み込む。もしかして、事件に巻き込まれているのだろうか?しかし流石にこの真っ暗な中を一人で行くのは…
そう迷っていると、背後から気配がした。背筋がぞくりと凍る感覚に思わず振り返ると、1人の男が私の真後ろに立っていた。
「なんだお前もか?さっさとしろ」
「え、お前もって…」
まるで私が来るのを待っていたかのような男は、早く来いと私の腕を引っ張って無理やり路地の奥に連れていった。
「は、離してください!」
暗い路地の中を痛いほど引っ張られながら進んでいく。私の声など聞こえていないかのように振る舞う男の足が止まる気配がない。
「大人しく付いてこい。さっきの奴みたいに『やっぱり怖い』って暴れるなよ」
「え…」
そう言って男が見下ろした目線の先には、1人の女子生徒…恐らくあのカバンの持ち主がぐったり壁にもたれかかっていた。
「ちょっと!大丈夫ですか!?」
男に腕を掴まれたまま、できるだけ女の子に近寄って声をかける。しかし返事はなく、意識を失っているようだった。
「おい、誰が勝手に行動していいって言った、人間風情が」
ピキピキと怒りを堪える男は、まるで虫を見るかのような視線で私を見下ろす。背後で気配を感じたときから底冷えするようなあの気配、「人間風情」という言い方…彼は人間ではなく、吸血鬼なのか。
「ふん、もういい。お前もここで喰ってやるよ」
「っ、待っ」
そう言うと、目の前の男__吸血鬼の目がぼうっと赤くなった。その光のせいか、はたまた恐怖か、身体がガチガチに固まって動けない。血を吸われてしまうのか。ゆらりと手が伸びてきて、肩を掴まれそうになる、その瞬間だった。
「下がって」
「!」
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作者名:ゆきこ | 作成日時:2025年8月26日 1時


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