降谷先輩。 【降谷零】

その8 ページ9

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その日の部活が終わった後、学校近くのファミレスで計画した通り有理ちゃんの事情聴取…じゃなかった、3人で恋バナをしていた。


｢で、もう遠慮なく言わせてもらうけど、有理ちゃんって降谷先輩のこと好きだよね？｣



私がそう切り出すと真っ赤な顔をして小さくこくん、と頷いた。



そんな彼女の顔は完全に恋する乙女のそれだった。



おぉぅふ…。



聞いてはみたもののなんとも言えない…。



そこに梨々実が助け船として、恋バナとしてはありきたりなあの質問



｢降谷先輩のどこが好きなの？｣



と聞いた。



ナイス梨々実。



｢最初は冷たかったけど実は優しい所、かな｣



そう言って俗世間でいう照れ笑いをした。



ん？



｢あー、わかるかも、意外と優しいよね｣



んん？



｢ごめんどこが？｣



｢荷物を運んでたら手伝ってくれたり、高いところのもの取ってくれたり｣



言われてみればそんな事をしてもらったような気もするが、その度に言われた、ひ弱だの、チビだの、"余計な一言"のせいで完全に忘れていた。



そう考えると確かに優しいのかもしれない。



｢あと、笑うと可愛いよ｣



笑うと可愛い？？？？



笑った顔を思い浮かべて見ようとしたが、残念ながら最初の方に見た黒い笑顔しか思い浮かばなかった。



あの笑顔だったらそれこそハリネズミの方がよっぽど、何倍も可愛い。



いや、元々ハリネズミの方が何百倍も可愛いか。



…なんかムカつく。



何でかは分からないけど、なんかムカつく。



そう思ってはズゴゴゴゴっと音を立てながらグラスに残っていた炭酸飲料を飲み干した。



話を聞く中で炭酸飲料を飲み干すこと数杯、結局その苛立ちの正体がわからないまま、その時の会はお開きになった。

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