降谷先輩。 【降谷零】

その43 ページ45

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薄暗い館内。



大きな水槽の中で色とりどり魚達が悠々自適に泳いでる。



その姿に目を輝かせていると



｢子供か｣



先輩に笑われてしまった。



｢いいじゃないですか、高校1年生なんてまだまだ子供ですよ｣



生まれ変わったら魚になりたい。



地球の7割をも占める海を自由に泳いでいたい。



何となくそう思った。



高校生なんて本当にまだまだ子供なのだ。



早く成人したい。



ろくに1人で何も出来ない。



親の力がないと生きていけない。



そんな自分がもどかしくて、もどかしくて仕方がなかった。



｢魚っていいですね｣



光が鱗に反射してキラキラと輝いて見える。



赤に青に黄色。



その姿は本当に綺麗だった。



｢…そうだな｣



たっぷりと時間をおいてそう返された。



先輩の顔はよく見えなかったけど、おそらく何か勘づいているのだろう。



それでも何も聞かない先輩の優しさが無性に痛かった。



こんな時だけ優しいなんて本当にムカつく先輩だなぁ。



魚達は相変わらず悠々と泳いでいた。

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