その7 ページ7
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私のうち、ご存知の通り姫宮財閥なんです。日本有数の由緒ある財閥の。
その現当主は私の母なんですけど私が小さい時までは祖父でした。
当主交替の理由は祖父が病床に伏したことがきっかけ。
そうは言っても割と元気だったんです。14年前までは。
そう、高校1年のときです。
急に病状が悪化して、突然にもう長くないと告げられたそうです。
そして仕事で忙しい母の代わりに祖父についていて欲しいと言われたんです。親戚とかも他にいなかったので。
でも正直それだけなら引っ越す必要はなかった。今の時代、国内の日帰り旅行なんて簡単ですし。
しかしそうはいかなかった。
祖父はイギリスに住んでいたんです。祖母の母国で、祖母が眠る地で余生を過ごしたいという祖父の願いから。
まあ、そんな理由があって私と姉はイギリスへ渡りましたとさ。
「ね?大した話でもないでしょう?」
一通り話して先輩を見ると微妙な顔をしていて何を考えているのか読めない。
「どうして黙っていったんだ」
「人に話すようなことでもありませんし」
「断ることはできなかったのか」
「言われた時にはもう全ての手続きが終わっていました」
段々と荒げられていく先輩の声と、それに相反するような冷静な私の声だけが部屋に響いていた。
「先輩」
また次の言葉を言おうとしていた先輩を呼び止める。
「どうしてそんなに怒っているんですか」
青が揺らいでいた。
「言っただろう、お前のことが好きだったんだよ」
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いちごきゃらめる(プロフ) - めちゃめちゃ面白かったです!続き気になります (2021年2月24日 3時) (レス) id: 654b6b5b60 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:珠々菜 | 作成日時:2018年7月13日 0時